新しい投資サービスとしてクラウドファンディングが注目されています。日本では市場規模はまだ大きくありませんが、米国などでは急拡大しており今後も長く伸びるビジネスサービスと思われます。
クラウドファンディングとは、クラウド(crowd)とファンド(fund)の造語で、クウラウドは群衆、ファンドは金融商品などを扱い資金を集め運用する出資者を指しています。
クラウドファンディングは、資金を調達したい人と、投融資したい出資者とを繋ぐ仲介役となります。プロの投資家と異なることは、出資者の一口当たりの投資額が少ないことが特徴にもなっています。
出資の形態では、寄付型(見返りはありません)や購入型(実現すると製品やサービスが付与)、投資型(金銭的なリターン)があり、日本では購入型が主流となっています。
クラウドファンディングは、米国で先行しましたが日本でも平成23年頃より、東日本大震災での支援を機にウェブサイトが開設されてきました。平成26年には市場規模が20億円を超えましたが、世界のクラウドファンディング市場規模は5,000億円を超えています。
日本初のクラウドファンディング「Readyfor」は、平成23年3月にサービスを開始。プロジェクトを企画する資金調達者が「Readyfor」へアイデアを掲載し、賛同する投融資者を募ります。目標額に達成すると投融資者に対し、商品やイベント参加など金銭以外のサービスを返す購入型でスタートしました。平成27年12月には、寄付型クラウドファンディングも開始しました。
「Readyfor」ウェブサイトへの掲載は無料で、目標額に達した場合のみ、手数料として17%を受け取っています。これまで掲載したプロジェクトは5,500件以上、出資額は日本では最多の22万人、32億円以上を調達し拡大を続けています。
▼クラウドファンディング:「Readyfor(レディーフォー)」
「Readyfor」は平成27年頃までは個人やグループ、小規模団体などのプロジェクトが多く見られましたが、平成28年には地方自治体や国立科学博物館、大学などが資金調達者として名を連らねてきました。
国立科学博物館では、3万年前の航海を再現するプロジェクトに2,600万円を調達。自治体では震災で全壊した岩手県久慈市の水族館の復活プロジェクトや、宮城県では農業を支援する「みやぎ 食と農のクラウドファンディング」も立ち上げました。税金だけに頼らない資金調達の多様化も見えてきました。
数年前にはエンジェル投資家という起業支援のために出資する仕組みがありましたが、クラウドファンディングは少額からでも支援できる仕組みのため拡大傾向は当面継続しそうです。
[2017.5.8更新]