例えば、長男家族と同居していた父親が亡くなり、父親名義の住宅が遺産として残される場合を想定してみましょう。相続人は長男の他に、兄弟姉妹が3人とします。
相続財産:父親名義の一戸建て住宅
相続人:長男、次男、長女、三男
父親と同居していた長男の家族構成:妻、子(中学生)1人
この場合、原則的には、自宅を売却してその売却代金を4等分すれば相続人である兄弟姉妹に遺産が公平に分配されることとなります。しかし、長男は、住み慣れた自宅を手放すことには抵抗があり、子供の転校のこと等を考えても引越しはしたくないと考えています。一方では、自宅を売却しないで売却代金相当額を兄弟姉妹に4分の1づつ現金で分配しようにも、その資金の持ち合わせがない状態です。
リースバックの仕組を導入すれば
このような場合、自宅不動産をリースバックを前提に売却すれば、長男の当面の希望通り長男家族が今の自宅に住み続け、兄弟姉妹にも円滑な相続を行うことが可能となります。
長男は、リースバックを前提に現在住んでいる自宅を第三者に売却することで、売却代金を得ます。この売却代金を相続人間で分配し相続を円滑に完了させると同時に、新しい所有者との間で不動産の賃貸借契約を締結することで、家賃を支払いながらこれまで通り自宅に住み続けることが可能となるのです。
さらにこの際に、例えば「2年後の買戻し」を想定したバイバック特約を同時に締結しておけば、長男は2年間のリースバック期間終了後に、例えば「相続した資金と貯金等を頭金に住宅ローンを組む」といった方法で自宅を買戻し、自宅の所有権を回復できるのです。
[2012.7.13更新]