金融庁、銀行カードローンの実態を調査
麻生金融相は、融資が過剰と指摘されている銀行カードローンについて、融資の実態を把握し、審査の厳格化を徹底するための検査を平成29年9月から実施することを公表しました。
銀行カードローンーンを巡っては、国会などからも多重債務者の増加を助長と批判も出ているため、今回の調査で銀行の自主規制策が適正であるかなども調べる方針です。
確かに、ここ数年、テレビコマーシャルやインターネット・公共交通機関広告、繁華街の看板など銀行のカードローンの広告が目立ち、特に電車内の広告では、銀行の「カードローン広告」でお金を借り「パチンコ広告」で儲けようとしたが失敗し「法律事務所広告」へ相談へ行くという、各々の広告が揃っているのが実態です。
カードローン貸出額、消費者金融の2倍
日銀によるマイナス金利政策により、貸出金利が低下しているなか、銀行カードローン事業は利幅が大きく銀行の貸出残高は、この5年で消費者金融の貸出残高の2倍弱、5兆円を超えています。
消費者金融は、改正貸金業法の完全施行で、年収の3分の1までしか貸し出せない総量規制がありますが、銀行にはその規制の適用はありません。その貸出限度額は、使用用途問わずに500〜800万円程度、無担保で借り入れることが可能です。
ただ、金利は三井住友銀行が14.5%、三菱東京UFJ銀行が14.6%、みずほ銀行が14%など、消費者金融並みの高さです。
「銀行なら安心」の認識も影響
銀行カードローンは、「即日融資」や「ネットでカンタン審査」など資金ニーズ者にとっては魅力的な金融商品と言えます。また、消費者金融とは異なり「銀行」なら「安心」という認識が働き、手軽に借り入れることも多いようです。
ただ、金融庁の「貸金業利用者に関する調査」によると、銀行のカードローンを利用する理由として最も多いのは「生活費不足」が38.1%を占めました。これは、消費者金融全盛期の利用する理由、「ギャンブル」「交遊費」とは違ってきていることがわかります。「余裕がない」のが、実態であり、アベノミクスの「一億人総活躍」や「働き方改革」が急がれます。
警察庁のデータベースで厳しく審査
全国銀行協会は、金融庁の検査を受け、平成30年1月より融資審査を厳格化するため、警察庁のデータベースへの照会で審査に時間をかけ、「即日融資」を停止することを発表。各行では、非社会的勢力との取引を断つ狙いもあり、新規の個人向け融資の審査方法を見直しました。
全国銀行協会では、健全な消費者金融市場の育成に取り組むと述べ、銀行自らが貸出を自粛する新たな対策を講じる方針を示しました。
今後、資金ニーズのある人にとっては、ノンバンクに流れる可能性があるものの、急拡大した銀行カードローン融資に歯止めがかかります。
[2017.9.19更新]