企業独自の仮想通貨発行で資金調達
大阪市の仮想通貨取引所大手のテックビューロ株式会社は、企業が独自の仮想通貨を発行することで資金を調達する「ICO(Initial Coin Offering)」を支援するため、同社が仮想通貨を使う資金調達用のプラットフォーム(コンピューター上でソフトウェアが動作する基盤として機能する部分)である「COMSA」を今秋にも始めると発表しました。
「ICO」は、クラウドセールとも呼ばれる新しい資金調達方で、「IT(情報技術)」と「金融」が融合した「フィンテック」により金融の形を大きく変え、新たな資金調達法として注目されそうです。
フィンテック資金調達:ソーシャルレンディングやクラウドファンディングは急成長
これまで企業の資金調達は、金融機関などからの融資や、将来成功時に返済を期待する投資などがありますが、「フィンテック」領域では、ネット上で取引する「ソーシャルレンディング」や「クラウドファンディング」という資金調達サービスが始まりました。
金融機関は融資に慎重すぎで、東京五輪に向けた不動産関連業への融資だけが目立ち、投資してもらうにも適切な投資家に出会うことは至難の技です。
「フィンテック」がメディアでも取り上げられるようになってから、資金を借りる「ソーシャルレンディング」や、資金を貰う「クラウドファンディング」は急成長しています。新しい技術や商品を持ちながら資金不足で世に出ない企業にとって「フィンテック」は大きなチャンスとなっています。
海外での「ICO」、3時間で167億円の資金調達も
「ICO」は、「クラウドファンディング」の新しい形として資金調達を行います。「クラウドファンディング」が新サービスやアイディアを実現するため不特定多数から少額を投資して貰うのに対して、「ICO」は、新サービスを開始する企業が自社で発行する仮想通貨を購入して貰う方法です。
株式会社が投資家へ株を売り資金調達するのと同じ、「ICO」は、仮想通貨を売り資金調達します。投資家は投資した企業が成長し仮想通貨の価値が上昇すれば、初期の仮想通貨価値との差が収益となります。
「ICO」は、すでに海外では始まっており、3時間で167億円の資金調達を達成したプロジェクトも存在しています。
「COMSA」開始に課題山積み、リスクも存在
資金調達したいベンチャー企業や小規模事業者にとって「ICO」は画期的な資金調達法ですが、まだまだ課題は山積みです。
「ICO」に関する法整備はなく、詐欺的なコインなども多いことが現状です。コインの持ち逃げや事業が始められず解散といったリスクも存在します。
この不安を解消する可能性が高いプラットフォームがテックビューロ株式会社が発表した「COMSA」です。ビットコインやイーサリアム、ネムの3種の仮想通貨に対応。価格変動を抑え日本円と価格が連動する仮想通貨Zenを利用可能にし、金融庁の登録事業となる予定のZaif取引所が資金管理します。
平成29年8月現在、「COMSA」の事前告知がされただけですが、今秋のサービス開始が注視されます。
[2017.8.18更新]