中小企業の資金ニーズを融通します
参院経済産業委員会は平成29年6月6日、中小企業信用保険法等改定案を賛成多数で可決しました。
中小企業信用保険法は昭和25年12月、中小企業者に対する事業などの資金の融通を円滑にするために中小企業者の債務の保証についての保険を行う制度を確立。中小企業の振興を図る目的として制定されました。
同法第2条第5項の規定にある経営安定関連保証(セーフティネット保証)は、売上の減少や取引先などの災害、破綻などにより経営の安定に支障を生じる中小企業者について、信用保証協会が限度額の別枠化を行う制度です。
セーフティネット保証とは
セーフティネット保証1〜8号制度:中小企業信用保険法第2条第5項
1号:連鎖倒産防止
2号:取引先企業のリストラ等の事業活動の制限
3号:突発的災害(事故等)
4号:突発的災害(自然災害等)
5号:業況の悪化している業種(全国的)
6号:取引金融機関の破綻
7号:金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整
8号:金融機関の整理回収機構に対する貸付債権の譲渡
セーフネット保証4号、適用を3ケ月延長
経済産業省は平成29年6月14日、熊本地震に関わるセーフネット保証4号の適用期限を決めていましたが、熊本、大分、長崎地域からの適用期限延長を受け、平成29年9月14日まで延長を決めました。
同省では、引き続き熊本地震の影響を受けた九州各地の中小企業や小規模事業者の資金繰り支援に、一般保証とは別枠の100%保証で万全を期すとしています。
セーフティネット保証5号、適用業種が減少
業況が悪化している業種に属する中小企業者を対象とした支援策、セーフティネット保証5号について経済産業省は平成29年6月20日、、平成29年7月〜9月末までに適用される指定業種を公表。今期(同年4月〜6月末)に比較し53が適用外となりました。
ただ、保証限度額は一般保証とは別枠で、無担保保証は,8000万円、最大で2億8,000万円とし、保証割合も借入額の100%としました。
さらに、中小企業信用保険法等改定案は、小規模事業者への小口融資を信用保証協会が100%保証する限度額を1,250万円から2,000万円へ。創業者融資を100%保証する限度額も1,000万円から2,000万円に拡充されます。
信用保証:保証割合100%から80%へ?
平成29年5月17日の改定案に関する参考人質疑では、セーフティネット保証5号の保証割合が100%から80%へと引き下げられることが論議されました。要因としては、信用保証への「過度な依存」などが挙げられていますが、中小企業にとっては明らかなマイナス要因です。
平成20年のリーマンショックや、23年の東日本大震災の甚大なる災害に、セーフティネットや危機関連保証は約1万6,000社の倒産を回避した中小企業にとっては「最後の砦で」す。各々の措置など強化も必要ですが、緩和策はまだまだ中小企業にとってはなくてはならないものです。
[2017.6.27更新]