地場産業に支援を拡大
政府系のファンド「地域経済活性化支援機構」は、平成29年度に手がけている事業再生の案件が100件を超える見通しとなりました。
大企業が業績回復傾向にあるなか、安倍政権は「地方創生」を掲げ、地域の経営難企業や宿泊施設、漁協、牧場など地場産業に支援を拡大し事業再建を促しています。
その効果も徐々に見え始め、地域経済活性化に向け、平成30年3月までが期限の支援決定について延長する議論を始める方針です。
地域活性化、事業再生ノウハウの蓄積を地方へ
地域経済活性化支援機構は、ほかの支援機関や多様な枠組み・機能などと連携し、地域活性化や事業再生ノウハウの蓄積と浸透を図理、持続的に地域育成・活性化が行われる触媒としての役割を果たしています。その目的を果たすために不可欠な専門人材や経営人材の確保と育成を図り、地域に人材を還流させる機能を果たします。
同機構は、平成21年10月に設立し、平成25年3月に改組した後、平成29年3月末までに実施した再生支援決定件数は4年間で67件ですが、平成29年度は1年で100件を超える見通しです。
大企業より中小企業に軸足
地域経済活性化支援機構が支援決定する事業者の規模別を見ると、中小企業が最も多く全体の58.9%と半数を超えています。続いて医療・学校法人が24.25%、中堅中小企業が13.1%、大企業が2.2%と続き、中小企業にウェイトを置いています。
同機構が本格的に相談受付を再開した平成24年4月以降、債権買い取り件数は34件、元本総額は925億6,300万円に上ります。また、資金供給においても20件、3,712億2,200万円に達しました。中小企業においては、全体の56,3%が支援を完了しています。
政府観光局と連携、古民家活用で観光を振興
平成29年4月18日には、JNTO(日本政府観光局)と「古民家などの歴史的資源を活用した訪日外国人旅行者の地方誘客促進のための連携協定」を締結。両者提携により、訪日外国人客を地方分散に向け古民家を活用。観光を振興し、地域活性化モデルの構築を目指します。
メディアでは、「地方都市消滅」や「地方人口急減」「地域自治体財政不足」など消極的な記事が取り上げられますが、地域経済活性化支援機構やJNTOのほか、地方公共団体などとの協業、平成19年に創設された「ふるさと納税」など効果が見え始めています。地方活性化に必須な情報のアンテナは常に張っておきましょう。
[2017.5.22更新]