融資件数、融資額は過去最高
政府系の金融機関・日本政策金融公庫は平成29年5月10日、平成28年度の「介護・福祉産業」を含むソーシャルビジネス関連全体の融資実績が前年度比124.5%の9,644件、融資額は同118.2%の717億円と、件数・融資額ともに過去最高を更新しました。
経済産業省によると、ソーシャルビジネスとは、環境保護や高齢者・障害者の介護・福祉から子育て、街づくり、観光などに到るまで、企業やNPO、団体など様々な主体が協力しビジネスの手法を活用して取り組むものがソーシャルビジネスと位置付けています。
ソーシャルビジネスの推進、融資の増加・拡大により、行政などのコストが軽減されるだけでなく、地域に新たな起業や雇用の創出が生まれ、地域活性化が期待されます。
経産省:新たなソーシャルビジネスを創出支援
経済産業省ではこれまで、新たなソーシャルビジネスを創出するため、事業を支援してきました。
平成23年度には、ソーシャルビジネス事業者との連携を促す手法で、事業支援に取り組む中間支援機関が自らの中間支援スキームやノウハウを地域の民間団体に移転。質の高い中間支援機関を創出してきました。
平成24年には、東日本大震災からの復興のため、ソーシャルビジネスの成功モデルとして期待される事例や、ソーシャルビジネスの核となる事例集をまとめ公表しています。
▼経済産業省:ソーシャルビジネスケースブック(平成23年3月)
融資全体の8割が「介護・福祉」事業者へ
平成28年度の融資増加の背景には、ソーシャルビジネス関連融資の全体の約8割を占める「介護・福祉事業」向け融資が急増したことによります。平成28年2月にソーシャルビジネスに取り組む事業者向け融資を拡充した要因も後押しとなっています。
日本政策金融公庫では、ソーシャルビジネスを一層充実するため、平成29年4月、国民生活事業本部に支援グループを新設。政府系金融機関として、今後も地域社会の課題解決に取り組む担い手を積極的に支援するとしています。
企業倒産件数はバブル期並の低水準
東京商工リサーチによると、全国に企業倒産件数はバブル期並に低下し、平成28年度は8,381件と平成2年度以来の低水準。8年連続して前年を下回り、2年連続で9,000件を割っています。中小企業金融円滑化法のリスケジュール(条件変更)終了後も金融庁の要請で金融機関では同法施行中の対応です。