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ゆうちょ銀行、カードローンではない無担保個人向け融資事業を申請!
総務省は「前向き」、金融庁は「慎重」

公共料金などの引落し口座から不足分を融資
経営統合、再編ゆうちょ銀行は平成29年3月31日に、個人向けの無担保融資業務の参入に向け、金融庁と総務省に認可申請しました。
ゆうちょ銀行が新規申請するのは「口座貸越サービス」と名付けられ、民間の金融機関のカードローン同様の個人向け無担保融資ですが、カードローンが専用口座から借入れるのに対し、口座貸越サービスは毎月の水道料金などが引き落とされる口座からの借入れとなります。
民間の金融機関のカードローンのように限度額いっぱいを借り入れるのに対し、必要最小限の借入額で済むよう配慮されていますが、引落しの残高不足時以外に現金の借入も可能としています。


利ザヤ収益の高い事業は魅力
口座貸越サービスは、残高が不足した場合に最大50万円まで借入れが可能。金利は14%程度を想定しており、平成29年4月末にも両省庁より認可を受けたうえ、平成31年に事業開始のためのステム開発など準備を進める予定です。
ゆうちょ銀行は当初、利ザヤ収益の高い民間金融機関と同様のカードローン事業の参入を検討してきましたが、金融庁が「返済能力を超える過剰な融資が行われている」との指摘に問題視、カードローン参入は取りやめました。
その代わりに、利用者がATM(自動現金支払機)で借入れできるほか、口座貸越サービスを申し込んでいれば公共料金やクレジットカード利用代金の引落しで残高不足の場合、不足分が自動で融資される仕組みとなります。


企業融資や住宅ローンを捨て個人向けに全力
ゆうちょ銀行は、平成24年に企業向けや個人向けの融資事業への参入を金融庁と総務省に申請しましたが、金融庁は「審査態勢が不十分」と却下。平成28年には総務省が申請内容を見直すように求めていました。結論として、今回の個人向け無担保融資の新規申請で、これまでの企業向け融資や住宅ローン取扱いの認可申請を全て取り下げる方針です。
日銀のマイナス金利政策導入後、厳しい運用環境が続くなかで比較的利ザヤ収益が見込める個人向け無担保融資で収益を確保する狙いです。ただ、システム開発などで黒字化までには6年程度かかるとみています。


金融庁と総務省に温度差
口座貸越サービスは、いつ、どのタイミングで金融庁、総務省の認可が下りるのか注目されます。
平成28年12月には、麻生金融相が新規業務について「融資は回収できるのが条件。審査能力が郵便局にあると言う話は聞いたことがない」と、ゆうちょ銀行の審査能力に疑問を投げかけました。
一方、高市総務相は同月、「申請から4年経過し金融庁と連携し審査を加速させたい」と、4年以上結論が出ないことに不満を漏らしました。慎重な金融庁と前向きな総務省の温度差は埋まるのか注視されます。

[2017.4.3更新]

     

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