メガバンク:利ザヤの収益を確保
平成28年1月、日銀がマイナス金利政策を導入たことにより日本の3大メガバンクは、利ザヤ収益確保にカードローン事業の拡充やリスク性の高い劣後ローン融資を拡大しています。
劣後ローン融資は、通常の融資よりも金利が高く万が一、融資先が破綻した場合には、返済の優先順位が他の債権より劣る設定となっています。
破綻した企業は、資産整理で従業員の給与や売り掛けに関わる取引先への返済などが優先され、優先順位の低い劣後ローンは、資産が残っていない場合や極めて少額しか残っていないことが十分に考えられます。
自己資本とみなされる劣後ローン
劣後ローンは資金調達を行う際、その形式が株式に類似していることから自己資本とみなす金融機関が多く存在しています。こうしたこともあり資本性劣後ローンとも呼ばれています。
企業が資金調達を実行しても、借入額は自己資本扱いとなるため、自己資本比率が悪化することはありません。よって追加の融資が受けられることも可能となります。利率こそ高いものの資金難に困惑する企業にとっては味方となりえる金融商品です。
大企業:続々劣後ローンで資金調達
ドンキホーテホールディングスは平成29年3月7日、劣後ローンで1,000億円を調達することを発表。調達資金で新規出店の設備投資に充てる方針です。通常の融資より金利面では不利となりますが、将来の金利上昇を見越し借入期間は50年としました。
劣後ローンは、平成28年もJFEホールディングスが借入期間60年で約2,000億円。NECは同60年で1,300億円、マツダは同50年で700億円、丸紅は契約上、返済期間のない2,500億円を調達し全額を資本に計上することもできます。
劣後ローンは、一定の割合が自己資本となり、財務体質の強化に繋がるメリットもあります。
りそなは中小企業向けの劣後ローン拡充
3大メガバンクの大企業への劣後ローン融資の拡大を見据え、りそな銀行では中堅・中小企業を対象にした劣後ローンの取扱い拡大を目指します。通常の融資の採算性が悪化するなか数少ない利ザヤが得られる事業として金融機関での獲得競争が激しくなってきています。
長期金利が上昇すれば40〜60年長期ローンや劣後ローンは増加すると考えられ、金融機関の収益に貢献することとなる一方、20年後の企業の健全性を予測するのは難しくリスクが高いのも現実です。
[2017.3.16更新]