昭和時代はJAL、ANA、東亜の3社、今は地方航空会社、LCCが続々参入
日本の航空業界は、昭和の時代から長くJAL、ANA、東亜国内航空(日本エアシステム)の3社独占態勢が続いていました。しかし、バブル崩壊後は、地方を拠点とする札幌のエア・ドゥや北九州のスターフライヤー、宮崎のソラシドエアが相次ぎ就航。さらにLCC(Low-Cost Carrier:格安航空会社)が参入し、平成24年以降にはANA系のピーチ・アビエーションとバニラ・エア、JAL出資のジェットスター・ジャパンも就航しました。
航空会社が増加したことにより、消費者にとっては運賃が下がる、サービス向上となりますが航空会社から見ると競争力が試され、現在は再建を果たしましたが日本を代表するJALは、平成22年に経営破綻しました。
機種を絞りコスト削減、リースバック契約で手元資金を温存
平成27年8月には、ピーチ・アビエーションとジェットスター・ジャパンが就航以来搭乗者数1,000万人を突破。ともに就航から3年数ケ月での達成です。数ある国内航空会社のなかでの搭乗者獲得は競争力の向上そのものです。両社とも機種はエアバス社のA300に絞り、操縦や整備、管理、メンテナンスの幅を凝縮し人員、設備などを抑えました。
また、ピーチ・アビエーションは平成28年から導入したA300から芙蓉総合リース社に一旦売却し、リース契約を結ぶリースバックで運用し、購入予定資金は競争力強化に充てる方針で、この手法は就航存続のために他社も続くと思われます。
スターフライヤー:自社購入機をリースバック契約に切り替え
北九州拠点のスターフライヤーは、平成24年、26年にエアバスA320を自社購入機として導入しましたが、平成26年に購入後JA三井リースなどリース会社2社に売却しリースバックに切り替えました。
平成28年2月末時点のA320、9機のリース債務残高は34億9,100万円。最終支払日は平成33年12月に予定しています。
航空会社が所有する旅客機や地上機械装置、建物など固定資産をリース会社などの売却しリースバック契約することにより、これまで同様に運用することが可能。資金調達を可能にし手元資金を温存できるメリットがあり、経営難に陥った場合などには有効な再建手段です。
スカイマーク:破綻からわずか1年で再建
平成10年にJAL、ANAに続く第3極として就航したスカイマークは、低価格化にも貢献した航空会社です。ただ、機材購入に関するトラブルで平成27年にエアバス社に多額の違約金を請求され民事再生法適用を受け経営は混乱しました。
高額の旅客機など固定資産はリースバック契約に変え改善は見え始めましたが、機種をボーイング737に統一し、第3極としての拠点、茨城空港や神戸空港の発着便を拡充したことでわずか1年で破綻から黒字化に転換させました。
茨城、神戸空港は都心から離れるものの自宅から搭乗までの時間は以外に早く、空いており、駐車場も無料です。
事業再建のためのリースバックは資金調達に適した手法でありますが、経営者が気づかぬだけで、しっかりと自社の事業を見直し顧客ニーズを浮き彫りにして改善、アピール、実行することでより早く再建を果たす企業が多いのも実情です。
[2017.2.23更新]