老朽化、耐震強化で建て替え
NHKは平成28年8月30日、東京都渋谷区神南の放送センターの建て替えに係る基本概要を発表しました。同センターの建て替え計画は、今の建物が最も古いもので築50年経っており老朽化、耐震性に疑問を生じていたところによるものです。
当初、現在のセンターを別の場所に移転、新しく建て替える計画でしたが適地が見つからず用地取得費も発生しないことから、現在の建物を使用しながら17年かけて建て直す方針です。
建て替えのコンセプトは、ネットやスーパーハイビジョンを提供する「世界を代表する公共メディアの拠点」、「防災・減災報道の拠点」、質の高い「創造性を生み出す拠点」と、開発工事が進む渋谷駅周辺との「街づくりとの調和」の4つが建て替えコンセプトとしています。
東京五輪後に解体、着工開始
今後のスケジュールは、平成29年末に情報棟の設計・施工業者を選定し、東京オリンピック・パラリンピック終了後にホールなどから解体を進め着工していきます。予定では、17年後に運用を開始。翌年には地上4階の人工地盤や駐車場を完成させ、完工するとしています。
想定される建設費用は、情報棟・制作事務棟・公開棟合わせ約1,700億円となり、放送設備費などは費用に含まれていません。
17年後には現在のテレビがどのような形態になっているのか、また、NHKや民法テレビ局は存在しているのか疑問が残ります。
若者はテレビでなくスマホやPCでいつでもどこでも視聴
現在のテレビは、いつまで存在するのでしょうか。特に若者はテレビではなく、スマートフォンやパソコンでいつでもどこでも視聴しています。1日テレビを見ているのは高齢者と思われ17年後には、NHKほか民法テレビ局が存在しているか疑問です。日本を除く先進国では、テレビ番組はケーブルテレビやネットで見るのが当たり前になっており、放送局が一定の周波数を独占することがなくなってきています。
テレビ番組・チャンネルの多角化でテレビ番組のコンテンツ、出演者も質が落ちてきた感があり、「見たい」と思うような番組が少なくなりつつあるのも現実ではないでしょうか。
BBC:欧州最大のネットメディアに成長
英国のBBC(British Broadcasting Corporation:英国放送協会)は、10年前よりiPlayerというネット配信を始めヨーロッパで最大のネットメディアになりました。BBCのライセンス料はテレビ・ネットを問わず、BBC視聴者に支払いを義務づけて「BBCはもはや放送局ではない」と宣言しました。
BBCは、デジタル放送に変換する際に放送設備と周波数を通信会社に売却して資金を調達。デジタル化への費用をまかない放送設備は通信会社とリースバック契約を締結し放映に至っています。テレビ局が占有している周波数は通信にも応用でき、その技術はメーカーが運用しているので、NHKもBBC同様にリースバック契約締結ならば技術部門を持つ必要もなくなります。
NHK:リースバック契約で建て替え費を負担?
NHKは、テレビ・ラジオ合わせて7チャンネルを占有し、その維持、人件費も視聴料に反映されています。NHKの建て替え基本計画に記載された放送設備や周波数を民間企業に売却し、リースバックで運営されることとなればニュースセンターなどの業務だけに特化できます。NHKのインフラと周波数なら1兆円以上の資金が調達でき、放送センターの建て替えコストの負担はなくなるでしょう。
NHKは、課題として建て替えながら放映継続対策を挙げているほか、工期中のスタジオ、オフィスは地方局の代替えを検討しているため、リースバックでの運営も視野に検討を願いたいところです。