町田ジョルナ店、60億円で売却
神奈川県川崎市に本社を置く百貨店、専門店ビルを運営、日本百貨店協会にも加盟するさいか屋は、平成28年9月26日、専門店を運営する町田ジョルナ店の土地・建物を、繊維製品の製造と不動産賃貸業の瀧泰とテーケーワイに譲渡することを発表。町田ジョルナ店の帳簿価格は10億9,100万円で、譲渡価格は60億円。さいか屋は譲渡益48億9,500万円を計上する予定です。
町田ジョルナ店は、譲渡後も一部の区画でリースバック契約を締結。譲渡先との間で町田ジョルナ店におけるテナント運営の管理業務委託契約を結び、さいか屋が運営と管理業務を受託します。さいか屋は固定資産の譲渡により、平成27年2月期第4四半期において48億9,500万円の固定資産売却益を特別利益として計上しました。
バブル崩壊、複合施設との競合で売上激減
さいか屋は、バブル崩壊や郊外型のショッピングセンター・複合施設との競合で売上が低迷。これまでの設備投資に見合う収益確保が困難な状況となっていました。さらに、平成20年のリーマン・ショックが重なり、売上が一段と落ち込み平成20年12月にさいか屋川崎店と横須賀店に路線を持つ京浜急行電鉄と資本・業務提携に乗り出しました。
さいか屋川崎店の不動産も平成21年12月に約76億円で不動産投資組合へ売却、リースバック契約締結で平成22年3月より営業を継続しています。各種の専門店を誘致し集客力の拡大とテナント収入を目指してきましたが、結果、川崎店は平成26年4月にビル所有者側からリースバック契約を終了するとの告知を受け平成27年5月で閉店しました。
今年3月に町田ジョルナ店リニューアルオープン
町田ジョルナ店は、さいか屋ブランドの百貨店ではないものの、さいか屋が運営する専門店ビル。昭和42年11月に百貨店として出店しましたが、昭和51年10月に専門店ビルに業務転換。平成28年3月には外装や内装などの改装工事を行ないリニューアルオープンに至っています。
町田は東京都の南部に位置し、小田急線と横浜線が交差。横浜方面や東京23区からのアクセスも良く百貨店など商業施設が集結しています。近辺には私立大学など教育機関が多く集まり、若者が集まる地区となっています。リニューアル後の町田ジョルナ店の若者らの集客と消費、テナントの収益が予測取りになるか注視されます。
百貨店、調子いいのは都心の3〜4店舗のみ
日本百貨店協会によると、協会に加盟する全国の百貨店の9月の売上高は4,233億円。前年同月比5.0%減と7ケ月連続前年を割っています。好調なのは銀座や日本橋,新宿など3〜4店舗のみで訪日外国人観光客の消費が後押しとなっています。また、プロ野球日本シリーズのチームの地元,広島や札幌の2地区の百貨店でも前年を上まりました。
消費者の消費意欲へのニーズや地元の消費者層を入念に調査し,ニーズに応えられる商品、サービスを提供することが百貨店売上復活へのポイントとなりそうです。