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アベノミクス効果の一つ、住宅の競売件数が激減!
実態は「リスケ」「任意売却の浸透」「投資家の高利回り」

「賃金アップ」「働く女性の力」「地方再生」政策で住宅ローンを返済
住宅を購入する場合、購入住宅を担保に住宅ローンを組む場合が多く、金融機関などの債権者は住宅に抵当権を設定します。アベノミクスの経済対策により「賃金アップ」や「働く女性の力」、「地方再生」により所得を安定させ住宅ローンを返済しますが、万が一、住宅ローンの返済が滞れば債権者は裁判所へ申し立て、強制的な換価処分を行う事があります。いわゆる不動産競売といわれるものです。
不動産の競売件数ですが、裁判所の「司法統計年報」によると、平成17年から26年までの推移が判明しました。
平成16年までは、不動産の競売件数は全国で7万件を超える水準でしたが、それ以降は長期的に減少傾向となっています。ただ、平成20年のリーマンショックの金融危機により競売件数は増加。翌平成21年12月4日に施行された中小企業金融円滑化法のリスケジュール(条件変更)により競売件数は減少傾向に転じました。


競売件数、ピーク時の1/3に減少
平成24年には、これまでのピークであった8万件弱の1/3の水準にとどまりました。時限法である中小企業金融円滑化法が終了したにも関わらず減少傾向なのは、2回の法案延長や、法案終了後も金融庁から金融機関へ積極的に対応するようにとの指導が通達されているためです。
アベノミクスによる景気回復論が功を奏している一面もありますが、金融機関の積極的なリスケジュールへの対応,さらに不動産の競売が実施される前の任意売却が浸透しつつあります。任意売却は債権者との合意に基づき一般市場で住宅を売却するもので、競売の落札額より高値で販売できるケースが多くみられます。

債権者と債務者の両者にメリットがありますが、競売件数が減少しているため購入者にとっては不動産競売は狭き門になりつつあります。


日銀:マイナスゼロ金利政策で不動産投資、高利回り期待
普通の住宅と異なり不動産の競売購入は「訳あり」のため一般には敬遠がちでしたが、数年前から投資家からの関心が集まっています。
日銀が平成28年1月に金融政策によりマイナスゼロ金利が導入され、金融商品の利回りが低下する中、競売物件は一般市場より割安で購入できる場合が多く、高い利回りを期待している事が背景にあります。低金利が続くなか少しでも優位な運用先を見つけたい事情です。


官公庁:ヤフオクで購入者に安心感を寄与
裁判所が行う不動産の競売は、住宅ローンが返済できなくなった場合、抵当権を設定した住宅を差し押さえ強制的に売却。「競売=怖い」イメージがあるとして官公庁ではヤフーオークションに出品し格安で住宅を安心して入手できるというアピールもしています。
任意売却で割高で販売されるケースもみられますが、競売件数は減少しておりニーズは底堅く、競売物件をリニューアルして高い収益に繋げる手法も広がりつつあります。


競売の先送り?住宅ローンのリスケ申請数46万件
金融庁は、平成28年6月21日、「金融機関に置ける貸付条件の変更等の状況について」を発表。住宅ローンのリスケジュールの申請数は,中小企業金融円滑化法が施行された平成21年12月4日から平成28年3月末までに46万977件に至ります。このうち38万2,222件がリスケジュールに金融機関が応じています。

住宅ローンの負担を軽減し日本経済の回復、労働者の賃金アップ、消費者節約心理の改善がなさなければ、住宅の競売、任意売却へ移行される可能性も多々あります。
日本は人口減少や高齢化社会、将来的な社会保障など、具体策が提示、実行されなければ競売の先送りになる可能性は多大です。IT(情報技術)やAI(人工知能)、IoT(あらゆるものがネットに接続)など高度な技術の進歩は早いため、早急に新たな住宅金融経済対策が望まれます。


[2016.10.18更新]
     

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