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赤いカードの「丸井」:リースバックで百貨店・キャッシング事業から不動産事業へ改革

行政・金融機関:運転資金,設備投資への融資は厳しい
企業は,新規事業や拡販戦略において運転資金や設備投資,つなぎ融資など必要となった場合、公的融資では審査や手続きに必要以上に時間が費やされ、銀行や信金などでは審査が厳しく、短時間で資金を確保する事が難しいのが現状です。
不動産のリースバックは、第3者的な協力者や投資家、私募ファンド、SPC(Special Purpose Company:特別目的会社)、TMK(Tokutei Mokuteki Kaisha:特定目的会社)などへ適正な価格で不動産を売却。その後、購入した第三者から不動産賃貸借契約(リース)を結び、不動産を現状のまま利用する手法で資金調達や損失補填をする事が可能です。


DCブランドの発信拠点「丸井ヤング館」を売却
丸井「赤いカード(クレジットカード)」でお馴染みの丸井グループは平成28年9月20日、子会社の丸井が所有する「新宿東口ビル」を売却する事を発表。同ビルは、ファッションの先駆けとして「マルイヤング館」と知名度を上げDC(デザイナー・キャラクター)ブランドの発信拠点となりました。
その後は時代を移り変わりから平成21年2月には、ファストファッション中心の「新宿マルイカレン」としてリニューアルしました。平成24年3月には閉店し,その後は賃貸用不動産として運用。紳士服の「ザ・スーツ・カンパニー」や家具・雑貨を取扱う「ケユカ」などをテナントに迎えました。


売却資金は過払い金返却へ
新宿東口ビルの売却により丸井グループは、約120億円の特別利益を計上する見通しです。キャッシング事業での利息返還額が過去の想定よりも膨らみそうになる事から「利息返還損失引当金」を特別損失として追加することを検討しています。
同グループは,創業時から家具や耐久消費財、ファッション、雑貨,飲食へ、その時代のニーズを取り込み、大胆に革新、軸足を移してきました。この状況は、平成17年から大幅な金利引下げが予定されていたカード・キャッシング事業と、人口減少が続く若者向けビジネスに改革が必要だと言う事を予測していたのです。


不動産事業で改革,すでに3店舗が黒字化
丸井グループは店舗の中でも丸井として業績が悪化し閉鎖したものの、売上によらず一定の賃料が入る不動産事業で再開した店舗が3店あり,徐々に黒字化してきています。稼ぎ頭のファッションを減らし,粗利の低い商材や飲食を誘致しても利益が確保できる事を証明しました。
丸井は、金融機関からは「金融でない」、百貨店業からは「百貨店じゃない」と言われるものの,時代のニーズを適格にリサーチし実行して生き残りました。良い意味で「どちらつかず」が生き残りの秘訣であるかもしれません。

[2016.10.4更新]

     

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