庁舎のテナント募集:結果「応募はゼロ」
大阪市は、住吉区のベイエリアにある大阪府の第2庁舎「咲洲(さきしま)庁舎:旧大阪ワールドトレードセンタービルディング」について、平成27年11月13日に初めて入居店舗を募集。平成28年に入り、応募がないことが判明しました。
咲洲庁舎は、大阪の中心地から西へ10km程度。湾岸部の人工島・咲洲に55階建てのビルで、高さは258mの超高層ビル。大阪府によると、1〜3階の店舗区画では、18室のうち11室が空き状況というもガラガラ感が伝わるとしています。
庁舎売却は橋下元府知事の「全面移転表明」から
咲洲庁舎は,橋下元大阪知事時代に大阪府庁の全面移転を表明。平成22年6月に大阪府が約85億円で購入したものの全面移転案は府議会で否決。さらに、平成23年3月の東日本大震災により、天井や壁の一部が損傷する被害もあり全面移転は頓挫しています。
大阪府では、今年に入っても入居者の応募者ゼロが続いており,「交通も不便,集客が見込めない」と条件面の見直しを検討。咲洲庁舎を売却して民間で活用し、売却後も大阪府が賃貸で入居するリースバックが検討されています。
大阪府、すでに泉佐野市の「総合センター」をリースバックで売却表明
大阪府ではすでに泉佐野市の総合センターを、賃貸で継続利用するリースバックを条件に売却することを表明。裁定売却価格は126億7,000万円。平成27年10月から受け付けています。大阪府では、不動産のリースバックによる市財や資金など温存する動きがみえてきています。
総合文化センター償還額は約11億円ですが、今後はリース料が13〜18億円に増加する見通し。泉佐野市では、売却額の残債の一部を返済に充てる方針です。
テナント集客は民間へ委託
大阪府では、「テナント誘致は府の本来業務ではなく、ノウハウのある民間に任せた方が得策」とお手上げ状況。咲洲庁舎のリースバックが色濃くなります。
リースバックは、売却後に賃貸借契約によりそのまま不動産を利用する手法で、相続対策や不良債権化した所有不動産の対応に利用されています。また、急な資金需要や一定期間、海外へ転勤するなど任意売却で資金を調達することも可能。行政関連の不動産ほか、中小企業や個人の不動産も対象に利用が可能。早めのリースバックの検討が望まれます。
[2016.1.20更新]