アベノミクス効果、調査対象150地区中107地区で地価上昇
国土交通省は平成25年11月26日、平成25年第3四半期(7月1日〜10月1日)の主要都市、高度利用地地価動向報告「地価LOOKレポート」を発表。地価上昇地区は、全国主要150地区のうち前四半期比71%増の107地区となりました。大胆な金融緩和と財政出動を柱とするアベノミクス効果で平成24年12月の政権交替以降、地価上昇傾向は継続しています。
同省では、不動産投資意欲の回復や住宅取得ニーズの増加などにより上昇は続くと分析しています。
先行的な地価の動向が把握可能
地価LOOKレポートは、主要都市の地価動向を先行的に表しやすい高度利用地などの地区について四半期毎に公表。地価動向を把握することで先行的な地価の動向が明らかにされます。
不動産鑑定士など鑑定評価員は、調査対象地区の不動産業や金融機関などヒアリングを行い不動産市場の動向を収集。地価動向は、不動産鑑定評価に準じた方法により地価動向を把握し、結果が国土交通省で集約されています。
東京・大阪圏7割で上昇、名古屋圏は10全地区上昇
圏域別では、三大都市圏のうち東京圏65地区のうち46地区が上昇。大阪圏でも39地区中28地区が上昇し、ともに上昇は約7割に上ります。一方、名古屋圏では、前回調査に続き14地区全てが上昇となりました。
用途別では、住宅系44地区のうち約8割の35地区で上昇。特徴的な地区では、京都市の二条や桂で平成19年の調査依頼初めて上昇に転じました。商業系106地区でも上昇は72地区と増加しており、全体の約3分の2地区が上昇となりました。復興バブルでわく仙台市の一番町では、5年9ケ月ぶりに上昇に転じています。
国交省、「前回の消費税率引上げの駆け込みは見られない」
国土交通省では、平成26年4月からの消費税率引上げを見込んだ動きは様々な地区で見られたものの、平成9年の税率引上げ時のような大きな駆け込みニーズは見られないとしています。
東北の復興ニーズから資材費は安定するものの、東京五輪が決定しインフラ整備など労務コストも上昇傾向にあります。さらに、ネット通販の急拡大により物流施設の集積などが進み地価動向への影響が注視されます。
[2013.12.2更新]