空室率改善は4ケ月連続
オフィス仲介の三鬼商事が平成25年11月7日発表した10月末時点の東京ビジネス地区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の平均空室率は、前月から0.34ポイント低下し7.56%と改善。空室率の改善は4ケ月続いており、4年4ケ月ぶりの低水準となりました。
10月は、新築のオフィスビル供給の影響もなく、既存ビルでも成約が進み東京ビジネス地区全体の空室面積は1ケ月で約2万4,000坪減少しました。
耐震性高い新築の大型オフィスビルへの移転ニーズは継続
空室率低下の要因は、企業の業績回復に伴いより耐震性の高い新築の大規模オフィスへ移転するニーズの継続。平均賃料も上昇傾向にあります。
東京ビジネス地区の1坪当たりの平均賃料は、1万6,237円と1年4ケ月ぶりに値上がりしました。このうち新築ビルでは、前月から922円高い2万6,500円と4ケ月ぶりに値上がる一方、既存ビルでは19円安い1万6,043円と6ケ月連続で値下がりしています。
事業の再編や統合、効率性向上へ大型ビルへ事業所集約
企業では、事業の再編や統合、効率性向上により複数ビルに入居していた事業所を集約したり、入居中のビルのフロア借り増しするなどの動きが目立っています。主要駅に近く利便性や耐震性、災害に対し対応力のあるビルに人気が集中しています。
新築の大型ビルに人気が集まる一方、築年数を経たビルや交通の利便性の悪い既存ビルではテナント確保に苦戦。老朽化した中小ビルでは募集を見送る例も見られます。
調査対象は100坪以上のビル、中小ビルは含まれず
調査では対象となるオフィスビルは、東京ビジネス区内にあるフロア面積が100坪以上のビル2,648棟。築年数を経た中小ビルの実態は反映されておらず、小規模ビルの空室状況に改善は見らない実態も浮き彫りになっています。
アベノミクスや東京五輪開催決定に都心では、次々に商業ビルの建設計画が打ち出されテナントとの需給バランスに懸念も残ります。安倍政権は、設備投資を促し外国企業を呼び込み経済成長実現を図りますが、新たな産業創出によるテナントニーズの創出も必要となります。
[2013.11.11更新]