10年間のリースバック契約でオフィスは継続して利用
パナソニックは3月5日、保有する「パナソニック東京汐留ビル」と、その敷地を日本ビルファンド法人と三井住友ファイナンス&リースへ507億円で売却する契約を結びました。同ビルは、平成15年に旧パナソニック電工の東京本社として建設され、平成24年9月からは、パナソニックグループの東京支社として機能を集約。現在、約2,000名の従業員が利用していますが売却後は、10年間のリースバック契約を締結し、オフィスは継続して利用されます。
パナソニックは、今年3月期に7,650億円の最終赤字を計上する見込みで、今期中に資産の売却や投資抑制、在庫削減など手元資金を確保する対策を打ち出しています。
汐留:最新ビジネスエリアで好立地
「パナソニック東京汐留ビル」は地上24階建て、地下4階、延べ床面積は4万7,308平方メートル。同ビルが位置する汐留地区は、旧汐留貨物駅の再開発で生まれた最新のビジネスエリア。運輸や通信、広告関連の企業が集積し好立地となっています。
売却先である日本ビルファンド投資法人は同日、「パナソニック東京汐留ビル」を三井住友ファイナンス&リースとともに3月12日に取得することを発表。パナソニックは同ビルと敷地を証券化し、テナント料などを受ける権利である新宅受益権を2社に譲渡します。
旧東京支社1〜3号館はすでに売却済み
資金調達を図るパナソニックは、昨年末までに東京・御成門駅前にある旧東京支社の「東京パナソニックビル」の5階建て2号館と、8階建て3号館を約100億円弱で売却。13階建ての1号館はすでに住友不動産と共有し証券化されています。
一方、1棟全てを賃貸して約800人の従業員が利用する大阪市中央区の「パナソニック大阪京橋ビル」は、今年5月末で解約。退去後には、近くの同社が賃貸するビルへ移転する方向で検討しています。同社は2年続けての最終赤字に陥る見通しで、ビル売却で調達した資金で財務基盤を強化します。
大企業は仕切り直しで資産売却!リースバックは中小・小規模企業でも同様に活用可能
世界的な景気減速や、アジア新興国との価格競争に巻き込まれ、日本の電機産業は低迷を続けます。手元資金を確保して財務基盤を強化。次の成長へ向け研究開発、技術革新などを目指します。
パナソニックをはじめ、ソニーヤシャープなど大企業が資産の売却で仕切り直しを図る動きは、規模に関わらず中小企業や小規模企業でも同様に活用できます。財務状況を一から把握し改善することで、次への成長を目指すためスピード感ある準備が急がれます。
[2013.3.11更新]