令和3年の中小企業の景況見通しは?前年に比べ7倍超えの改善へ
令和3年は全分野で前年超えの景況感に
日本政策金融公庫は令和2年12月11日、同年11月の「中小企業景況調査」の結果を発表し、令和2年の業況判断DI(Diffusion Index:各種判断を指数化)はマイナス60.2と令和元年のマイナス18.1に比べ低下したことが判明しました。
ただ、令和3年は、2年に比べ業況判断DIをニーズ分別で見ても全ての分野で上昇する見通しとしています。
令和3年に期待する要素としては、新型コロナウィルス感染症の影響の収束が69.6%と最も高い一方、不安要素として感染症の影響の割合が国内の消費低迷や販売不振を上回り、1位となりました。
設備投資・従業員数DIも上昇見通しの令和3年
設備投資についても令和3年は、
設備投資額DIはマイナス6.2と2年のマイナス33.8から27.6ポイント上昇する見通しで、従業員数DIでもプラス4.4と2年のマイナス8.5から12.9ポイント上昇すると見込んでいます。
新型コロナウィルス感染症の拡大により売上が急減した企業では、給与とほぼ同額給付される雇用調整給付金や家賃補助給付金など菅政権では相次ぎ政策を打ち出してきましたが、財政問題からこれらも期限付きとなっており、従業員解雇や派遣切り、パート・アルバイトの雇い止めなど懸念が残ります。
設備投資、電機・電子、衣生活関連企業でマイナス幅が減少
売上DIでは、最終ニーズ分野別で全てがマイナス圏になるものの、
設備投資や電機・電子、衣生活関連の3分野でマイナス幅が縮小しましたが、建設や乗用車、食生活関連ではマイナス幅が拡大する結果となっています。
過去3ケ月の実績比で増加の企業割合から減少の企業割合を差し引いた売上見通しDIでも、乗用車関連が3ケ月連続でプラス圏となり、食生活関連を除いてマイナス幅が縮小しています。
中小企業景況調査とは
「中小企業景況調査」は、令和元年11月中旬に
日本政策金融公庫の3大都市圏の取引先約900社を対象に、製造業や建設業、運輸業、卸売業を中心に実施されています。
同公庫では、金融相が認定する国内外の金融秩序の混乱や大規模災害、さらに今回の新型コロナウィルスでの経済の混乱時には企業に対し危機対応円滑化業務を実施しています。
新型コロナウィルス感染症の収束は見通しが立たないものの、「Go To キャンペーン」もいきなりの全国一時停止となり、これからの中小企業対策が必須となってきています。
[2020.12.22更新]