年間5兆円市場のネット通販、大型物流施設は開発ラッシュ
国内の通販市場は平成23年度に5兆円を超え、とくにネット通販は急成長し、大都市近郊では大型物流施設の開発ラッシュが続いています。報道では、製造業が海外移転や工場閉鎖などが連日伝えられる一方で、スーパーやコンビニなど小売業がネット通販の参入で大型物流施設の着工が相次いでいます。
投資家から集めた資金で不動産に投資するJーREIT(不動産投資信託)では、今月下旬から来年1月にかけて国内最大級の新規上場が相次ぎます。シンガポール政府系や米大手が上場時の物件取得額2,000億円規模の上場が予定され、いづれも大型物流施設に投資するとしています。
JーREIT:株式より高配当、日銀買入れの信頼も追い風
東証REIT指数は、12月も1,060ポイント台を維持しており、トータルのリターンを表す配当見込み指数の年初来騰落率はプラス33.1%。同期間のTOPIX(東証株価指数)配当込み騰落率、プラス9.7%を大きく上回り市場の堅調さを示しています。
JーREIT市場が創設され10年が過ぎ、新規の上場や日銀の金融緩和策によるJーREITの買入れ、オフィスなどの空室率の改善など市場は堅調に推移してきました。今後は拡大傾向にある大型物流施設などの増加でJーREIT市場のさらなる活性化が期待されます。
大型物流施設:建設地の落札額はバブル並み?
今年4月には、ケネディクスがJーREIT市場に上場。JーREIT市場では実に4年半ぶりの新規上場となりました。新規上場は、投資家にとって市場の拡大や銘柄の多様化、投資の分散などメリットもあり、投資家心理も改善、信頼度も高まります。
大型物流施設の建設は、リーマン・ショック後には落ち着きも見られましたが、相次ぐネット通販参入により昨年下半期以降に再び活発化。東日本大震災の影響もあり、耐震性に優れた大型物流施設に評価が高まり、土地の入札では落札価格がバブルの様相となっています。
大手不動産会社も物流不動産市場へ本格参入
ネット通販の急成長を背景に大型物流施設の需要は高まり、大手不動産会社も物流不動産市場に本格参入。独自の開発が進めば資金力や開発力、ノウハウなどこれまでの専業には脅威となる一方、新規に施設の取得でJーREIT市場への上場が増加する期待も高まります。
政府の金融審議会では「資金調達・資本政策手段の多様化」において、調達手段の多様化でJーREIT市場の財務基盤を図る議論もされ、市場の健全性も高まる傾向にあります。総選挙後の政権後退など左右される可能性があるものの、JーREIT市場支援は今後も期待され堅調な推移が見込まれます。
[2012.12.10更新]