GDP成長率が戦後最悪!コロナ前の水準回復は令和3年度末
リーマン、オイルショックを超えるGDP悪化
新型コロナウィルスの影響が本格化した令和2年4月〜6月期の
GDP(Gross Domestic Product:国内総生産)成長率は、予測通り戦後最悪の結果となりました。
内閣府が令和2年8月17日発表した
GDP速報によると、物価影響を考慮した実質
GDPはマイナス7.8%と年換算でマイナス27.8%と大幅な減少となりました。
これは、リーマン・ショック後の平成21年1月〜3月期の年換算マイナス17.8%、オイルショックのあった昭和49年1月〜3月期の年換算マイナス13.1%をも上回りました。
国内での消費と投資がGDP回復に
GDPは、国内で生産されたモノやサービスの付加価値の合計金額であり、日本が儲けた金額となります。
GDPの大半を占めるのが国内で生活する人々が日常的に使う「消費」と、国内企業が行う「投資」の合計金額である民間ニーズであり、加えて国が使う「政府支出」と輸出額から輸入額を差し引いた「貿易収入」の合計額が
GDPとなります。
GDPには2種あり、「名目
GDP」は、そのままの金額を算出した数値であり、紙幣価値が毎年変化するため正確な成長率が分からず、
GDPの同じ時期の紙幣価値に変換することで正確な成長率が分かるのが「実質
GDP」となります。
欧米各国、ロックダウンしてもGDPはマイナス30〜60%
内閣府によると、4月〜5月は緊急事態宣言の下、経済を人為的に止めた結果により厳しい結果となったものの、特別定額給付金や持続化給付金など12兆円を超える支援策の効果もあり、ロックダウンが行われた欧米各国の
GDPマイナス30〜60%に比べ減少幅は抑えられたとしています。
安倍政権では、令和2年4月、5月を底とし成長軌道に戻すよう国民の生命や生活、雇用、事業を守り抜くとともに、PCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)検査体制の拡充、感染拡大防止策を講じつつ、経済活動を段階的に引き上げていくとしています。
デジタル化、地方創生など実行計画を実行し感染早期回復へ
西村経済財政・再生相は令和2年8月25日、「
GDPがコロナ感染前の水準を取り戻すのは令和3年度末頃」との見方を示し、新型コロナウィルス感染での落ち込みを早期に取り戻すため、今年度末までにこれまで進まなかったデジタル化や地方創生などの実行計画をしっかり策定るることを強調しました。
内閣府が令和2年7月に示した経済財政の中長期試算では、潜在成長率が高まるケースで名目
GDPは、令和3年度にコロナウィウス感染前の令和元年度の水準に回復する見込みを示しました。
一方、民間の経済・感染有識者などは回復には令和6年頃との見方を示し、今後の回復動向が注視されます。
[2020.9.1更新]