不動産取引従事者の底上げ、通信教育で資格取得
全国宅地建物取引業協会連合会は11月21日、平成25年4月に不動産取引の従事者の底上げを図るため新たな資格を創設すると発表。不動産取引の高度化と複雑化が進むなか、昨年度から不動産総合研究所で検討してきた教育制度を具体化し合格者には認定資格が付与されます。
認定資格は、宅地建物取引主任者を持たない従事者だけでなく、学生などこれから不動産業界に従事を考える一般消費者も対象として、通信教育を経て終了試験を受けることになります。教育のカリキュラムは、従事者としての心構えから物件調査や価格査定、不動産広告、基本の契約など不動産業に関わる知識が網羅されます。
不動産の売買に必要な資格:宅建主任者の合格率は15%
不動産業には、有資格者ではなければ扱えない業務もあり、必要な知識を持つ証明ともなっています。不動産鑑定士や土地家屋調査士、土地区画整理士などの資格がありますが最もよく聞かれるのは宅地建物取引(宅建)主任者。宅地や建物の売買や交換、貸借など契約が成立するまで重要事項の説明など行う国家資格者です。
宅建主任者は、不動産会社に5人に1人の割合で配置する必要があり、不動産業を営む上ではなくてはならない存在です。資格取得には、毎年20万人以上が申し込むなか、合格率は15〜16%と難関です。
宅建協会連合会:仲介業者の資質向上へ新たな資格を提言
新たな資格制度は、全国宅地建物取引業協会連合会が今年3月の国土交通省「不動産流通市場活性化フォーラム」で、宅建主任者資格を持たない不動産従事者を含めた、仲介業者の資質向上のため提案されたものです。
フォーラムでは、中古戸建て購入者アンケートの結果を紹介。「宅建業者のコンサルティング機能に求められる項目」として、住宅診断情報やリフォーム情報、土地地盤情報など挙げられたことを指摘。これらの情報をワンストップで提供できる機能の構築が提案されました。
世界の不動産市場の透明性:日本は25位と低評価
中古住宅市場の活性化を目指す国土交通省では、不動産の情報透明化に向け日本の不動産システムの中核である指定流通機構(レインズ)についても情報の提供などが会合で議論されています。
今年7月に発表された米不動産仲介大手の米ジョーンズ・ラング・ラサールの世界の不動産市場の透明性に関する報告書によると、今年の日本の順位は97ケ国・地域のうち25位と低い評価。GDPが3位とはいえ主要先進国の中ではかなり低いランクとなりました。新たな資格の創設で、住宅購入予定者へ適正な情報が提供され、住宅産業の活性化へ繋がることが期待されます。
[2012.11.26更新]