フラット35利用者調査:40歳未満・年収600万未満の利用者は各々6割
住宅金融支援機構は11月1日、民間の金融機関と提携する低金利、安心固定型が魅力の住宅ローン「フラット35」の今年度上半期(4月〜9月)の利用者調査を発表。若年層や中間〜低所得者層に該当する住宅取得者が多く利用していることがわかりました。
利用者全体の年齢構成は、30歳代が48.1%とほぼ半数。30歳未満では13.3%と40歳未満の利用者が約6割を占めます。世帯年収では、年収400万円未満が前期から2.9ポイント増え20.5%。年収600万円未満世帯の40.5%を合わせると約6割が年収600万円未満世帯となります。
固い返済計画、返済負担率は25%未満で6割超え
総返済負担率では、負担率20%未満が前期から1.1ポイント上昇し39.7%。25%未満も含めると65.4%。フラット35の利用条件は、総返済負担率が年収400万円未満で30%、400万円以上で35%の上限が設定れており、先行き不透明な経済を見越し、頭金を増やす傾向が見られます。
総返済負担率は、フラット35では上限が明確化されていますが、民間金融機関の住宅ローンでは自行のルールで審査され、年収が高ければ負担率は高く、年収が低ければ負担率も低くなるのが一般的です。また、年収の審査についてフラット35では、申込み年度の前年度の年収で審査されるのに対し、民間金融機関では過去3年分の年収を審査するなど違いもあります。
会計検査院、虚偽申告は「生活を崩壊させる」
住宅ローンの審査を巡り会計検査院は10月19日、フラット35を供給する住宅金融支援機構に対し、民間金融機関の一部で甘い審査が行われていると指摘し審査の強化を求めました。検査院によるとフラット35の利用者が増加するなか、虚偽の申告をして融資金を搾取したり他人名義での申込みや、早期に返済不能となる不適正な事例が急増。検査院が審査不適正対象の39の金融機関を調査したところ、それぞれに対応の甘さが見られたとしています。
融資審査の甘さは、返済力以上の融資を受けてもこの先、年収の減少など返済が滞れば住宅を手放すことにもなり、生活を崩壊させる危険性があると指摘しました。
金融機関には信用リスクなし、被害がでないしくみが問題
フラット35の融資審査は、提携する金融機関で行われますが、住宅金融支援機構がローン債権を買取るしくみとなっているため、搾取など詐欺にあっても金融機関に被害はでません。会計検査院では、民間金融機関の信用リスクのない部分を指摘。検査院は、審査状況や不正時案の状況に応じ、一律となっている金利の差別など機構に求めました。
フラット35は、審査が厳しくなり利用できなくなるなど声も上がりますが、機構では融資条件を公表しており、虚偽申告などなければ利用に問題はありません。ただ、金融機関によって金利が変わる可能性もあり、利用者にとっては影響がないわけではありません。
[2012.11.15更新]