日本公庫、経済危機モードに単独融資を実行!時間のかかる協調融資から転換
日本公庫、協調融資を棚上げし、機動力高い単独融資へ
政府系金融機関では、新型コロナウィルスの影響により資金繰りに窮する中小企業などを支援するため、
日本政策金融公庫では民間との協調融資を一旦棚上げし、機動力の高い
単独融資へ転換を図っています。
協調融資は、1つの企業に2行以上の銀行など金融機関が融資団を結成し、主取引銀行が貸出金額や、貸出分担割合、条件などを協定して行われるものです。
企業の資金ニーズが多額で1行だけでは資金が賄いきれない場合に、いくつかの金融機関が資金負担することで分散を図り融資を円滑に行うものです。
日本政策金融公庫では、新型コロナウィルスの影響で迅速、スピード感ある資金ニーズのある企業が多いことに危機感を示し、
単独融資に乗り出しました。
緊急対応策第2弾、無担保・無利子融資
安倍政権は令和2年3月10日に、中小企業への緊急対応策第2弾で事業活動や雇用への悪影響を抑え、無担保・無利子策を盛り込み、その柱となるの政策金融を示しました。
売上高が前年同期から5%以上減少した中小企業に運転資金や設備資金を無担保で融資し、融資後3年間の金利は年0.9%下げ、中小企業は0.21%、個人事業主は0.46%下げた金利で融資できるようになります。
さらにフリーランスへは、条件を満たすことで実質無利子で融資を受けられるようになります。
民間の金融機関に了承を経て単独融資へ
日本政策金融公庫は、安倍政権の信用力を背景に低利で資金調達出来、地銀や信金などを上回る好条件を取引先に示すことが少なくなく、民間金融機関からは民間圧迫との声も聞かれました。
このため、民間の金融機関と協調融資を優先し、平成30年度に協調融資を行なった件数は前年度から約3割増え、3万件を上回りました。
ただ、今回の新型コロナウィルスに対しては、協調融資だけでは調整に時間がかかるため、資金ニーズが必要な中小企業に応えることができず、同公庫では協調融資を一旦棚上げする事を民間金融機関に了承を得て、理解してもらうことができました。
金融への相談件数は8千件超え、前週から3倍に増加
日本政策金融公庫ほでは、融資審査に当たり要員を増加し、支店の営業時間を延ばし融資体制の整備を整え、同公庫への融資相談は令和2年3月の第1週で8,555件と前週から約3倍に増えました。
安倍政権の中小企業支援策には、
日本政策金融公庫ほか、同様に政府系金融機関の商工中金や日本政策投資銀行による危機対応策も盛り込まれており、平成20年のリーマン・ショックや23年の東日本大震災同様に低金利の融資を長期に融資する措置が想定されています。
ただ、収束に向かった場合、政策金融を縮小させる出口の視点を保つなど、危機対応では過去の教訓をどこまで生かせるかも問われます。
[2020.3.20更新]