「現在」も「1年後」もDI全地域で上昇
国土交通省は10月18日、今年8月の「土地取引動向調査」の結果を発表。企業による土地取引状況のDI(Diffusion Index)は、平成20年9月よりマイナスの低水準で推移するものの、全国的に上昇しました。DIは数値化が難しい景況感などをアンケートの回答の割合を用いて数値化。「状況が良い」から「悪い」とする意見を差引き、100%をかけて算定しています。今回の調査では、「現在の土地取引状況の判断」や「1年後の土地取引状況の判断」のDIがともに全ての地域で上昇しました。
大阪「現在の土地取引状況の判断」24.9ポイント大幅上昇
「土地取引動向調査」は、土地取引市場の動向に大きな影響を及ぼす上場企業1,750社と、資本金10億円以上の非上場企業1,750社を対象に年2回行われ、土地取引に関しての短期的な意向が把握できます。
「現在の土地取引状況の判断」では、とくに大阪の上昇幅が今年3月の調査から24.9ポイントと大幅に上昇しマイナス28.0ポイントに改善。平成13年の調査開始以来、初めて大阪のDIが東京を上回りました。東京は前回調査から4.7ポイント改善しマイナス37.6ポイントとなっています。
「土地の購入・売却」いづれの地域も「購入」が上昇
「1年後の土地取引状況の判断」のDIでは、「活発である」との回答が東京では微増にとどまるものの、大阪やその他地域では増加。「不活発である」との回答はいづれの地域でも減少しました。
一方、「今後1年間における土地の購入・売却意向」では、いづれの地域も「購入」が「売却」を上回っています。業種別DIでは製造業の「購入」が減少したことで下落、「非製造業」がわずかに上昇しました。
地価の下落幅は縮小傾向、懸念材料は円高や欧州債務危機
今年7月1日現在の土地の正常価格を調査、公表する都道府県地価調査では、全国的に下落を示しましたが、下落率は縮小。東日本大震災の影響による下落率の拡大はあったものの、その後、平成23年下半期(7〜12月)には縮小。さらに今年上半期(1〜6月)には、下落率が縮小しています。不動産市場でも回復傾向を示していますが、長引く円高や欧州債務危機など、先行き不透明感による地価への影響も見られます
[2012.10.23更新]