農業融資3年連続増加のJAバンク!農業法人増加で農林中金も支援
融資と併せ、問題解決への提案が要因
農業協同組合や森林組合、漁業協同組合などを出資者とする農林水産業者の中央金融機関である農林中央金庫によると、平成30年度(平成30年4月1日〜31年3月31日)のJA(Japan Agricultural Cooperatives:農業協同組合)バンクへの新規の
農業融資実行額が約3,900億円と3年連続で増加しました。
事業としての農業への融資ニーズが増加していることに加え、営農経済事業や信用事業の連携、融資と併せた課題解決の提案などが融資増加の要因となっています。
同金庫では、平成29年度に
JAバンクへの
農業融資残高が2兆4,962億円でしたが、令和5年には2兆6,500億円に増やす目標を掲げています。
資金ニーズの掘り起こしを取り組む金融機関
JAバンクは、民間では最大級の店舗を全国展開しており、JAや信用農業協同組合連合会、農林中央金庫で構成しており、農業事業関連のメインバンクとなっています。
JAバンクでは、改革の一環として信用部門の職員が経済部門の職員と同行し、農業を担う農家や農業法人などを訪問することを心がけており、国内での農業法人の半数に当たる約1万件の法人をリスト化し、資金ニーズの掘り起こしに取り組む金融機関です。
取引社数は、平成31年3月末時点で約7,800社と27年度と比較し約35%増加し、令和5年度には1万1,000社を目指すとしています。
AIやICT活用でスマート農業へ
農業人口は、減少や高齢化、後継者不足など個人経営(農家)は減少しているものの、法人化して農業を行う経営体は増加傾向にあり、若年層の新たな発想での農業も実現化しつつあります。
AI(Artificial Intelligence:人工知能)やICT(Information and Communication Technology :情報通信技術) を駆使したスマート農業への取り組みも進んでおり、自動化や省力化、生産向上と新たな商機を見い出す実用化が進んでいます。
富山県のある農家では、企業と連携し、自宅のソファでくつろぎながらタブレット端末で農地の状況をグラフで見ながらセンサーで水門の開閉なども実施している実績も出てきました。
融資だけでなく課題解決コンサルタントにも
農業法人数の増加や規模拡大など農業への融資は増加傾向にあり、金利も低く、農作機や加工機、施設など更新時期を迎える生産者も多く、
JAバンクのこれからの動向が注目されます。
JAバンクでは、
農業融資の増加について農家や農業法人とのコミュニケーションをする時間も増え、単に融資するだけでなく、販売先や財務など課題解決に向けたコンサルタントに近い相談をする機会ができつつあると手応えを示しています。
農林中央金庫でも、経営課題の共有や課題解決などの施策を提供する方針で、令和元年度より農業法人以外にも対象を増やしていく方針です。
[2019.6.18更新]