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事業承継に個人保証求めず!
事業承継税制を期待
事業承継に個人保証求めず!事業承継税制の活用で早期承継を期待
首相表明、事業承継に「大胆な政策を実施する」
安倍首相は令和元年5月31日、全国商工会連合会の会合にて中小企業の
事業承継に関して、
事業承継者に企業の債務の個人保証を求めない仕組みを作ることを表明しました。
首相は、会合にて、「強い決意を持ち、大胆な政策パッケージを実施する」と強調し、政府系金融機関の日本政策金融公庫や商工組合中央金庫など、融資の際には個人保証なしを原則とすることなどを挙げました。
平成26年に「経営者保証ガイドライン」が導入され、結果、個人保証なしでの民間の金融機関の中小企業向け新規融資は2割まで拡大し、政府系金融機関では10兆円を超える融資を個人保証なしで実施してきましたが、まだ十分な数字とは言えません。
事業承継の税負担少なく「事業承継税制」は活用者が徐々に増加
一方、中小企業向けの事業を引き継ぐ際の税負担を軽減する制度「
事業承継税制」の利用も増加傾向にあり、平成30年4月に利用条件を緩和した効果が現れてきています。
中小企業において、
事業承継をする場合、現在の経営者が生前であれば贈与税、亡くなった後であれば相続税がかかりますが、「
事業承継税制」は新たな経営者になり経営する後継者を決定し、将来的な事業の継続計画を提出すれば税の支払いが猶予されます。
さらに、その次の孫の代まで事業が承継されれば最終的に税の支払いは免除され、中小企業が廃業に追い込まれることをなくす方針です。
70歳以上の経営者、今後10年で245万人
中小企業や小規模企業の経営者は、今後10年で70歳に達する企業が約245万人いると経済産業省中小企業庁は推測し、今後も増加傾向に歯止めがかからない状況です。
経営者が高齢の場合、病気など突然
事業承継が必要になるケースも多く、このような場合には税負担が大きくなり、同様の相談件数も増加しているのが現状です。
廃業を選択する中小企業や小規模企業は年間約2万5,000社を超える水準で推移しているだけに、早急なご相談が早期解決を生み出します。
税制優遇受けるには高いハードル?
ただ、「
事業承継税制」で税の支払いの猶予を受けるためには、令和5年3月末までに事業計画を提出し、令和9年12月末までに
事業承継を実施する条件があるため、
事業承継が順調に増えるかは不透明です。
日本はグローバル化、自由貿易が進み、働き方改革で生産性向上も確実でなく、産業はIT(Information Technology:情報技術)化、ロボット化など大きく変革するなか、今後の見通しを適切に判断することは難しい状況です。
事業承継が滞れば高齢経営者の中小企業、小規模企業の事業は傾き、日本経済の足を引っ張ることにもなるため、早急に多角化な政策が望まれます。
[2019.6.7更新]