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定期借地権付きで貸出し
国有地を売却から貸出しに転換!リースバックでなく定期借地権付きで貸出し可能に
国有地の活用、公共施設から民間商業施設へも貸出し
財務省は令和元年5月22日、利用されていない国有地に関する基本方針について、これまでの売却から貸出しに転換する方針を示しました。
国有地は、不要となった公務員宿舎など売却を進めてきましたが、売却が一巡したことを受け今後は貸出しに転換する方針で、令和元年6月中に取りまとめ具体的な開始時期などを詰めるとしています。
貸出しの対象となる国有地は、1千平米以上で、これまでの公共の保育や介護施設に限らずに民間の商業施設などにも
定期借地権付きで貸出す方針で、将来世代が国有地として利用可能となるように国が所有権を維持したまま賃貸収入を得る狙いです。
リースバックと異なり、国有地の名義は国に残す指針
財務省が目指す
定期借地権での貸出しとは、土地は国有地として名義を国に残し貸出すだけで、事業者や店舗・テナントなど借主は建物を建て事業などを営む仕組みです。
この借りた土地に商業施設などを建て、賃料を国へ払うことになりますが、事業用
定期借地権の契約形態に
リースバック契約もあり、国が建設協力金などで借主の事業形態に合った建物を建て、建物を一括賃貸し、賃料から建設協力金を差し引き国が毎月賃料を徴収する形態です。
リースバックの場合、建物が借主の事業に合った仕様となるため、事業用
定期借地権契約より収益性が高くなるケースも多く見られます。
将来世代に残すべきと考え定期借地権を選択
財務省では、将来世代に残すべき国有地であると判断した場合、売却せずに留保財産と位置づけており、
定期借地権であれば防災などの目的で国が所有権を持ち続けるとの考えのようです。
東京23区内の人口密集地で1千平米以上、大阪府、仙台市、那覇市など地方中心都心で2千平米以上の国有地が対象となる予定で、規模が小さい場合でも再開発や人口流入が見込まれる国有地なども候補に挙げられる見込みです。
公的施設から民間商業施設へも国有地貸出し拡大
国有地は、これまで保育や介護施設など民間で不足している地域に売却されてきましたが、今後は貸出し、用途も商業施設などにも貸出す方針です。
財務省では、財政健全化のため、国有地の売却を進め国有地の評価額である台帳価格で現在3,626億円分が利用されていないのが現状ですが、過去20年で5分の1に減少しています。
ただ、国有財産の貸出し収入は年間300億円に留まっており、国有地の民間の商業施設も含めた
定期借地権の貸出しで今後の有効活動が課題となると考えられます。
[2019.5.28更新]