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TOB」でデサントを支配下へ!
伊藤忠商事「敵対的TOB」でデサントを支配下へ!
韓国への利益依存度を国内へ還元
デサント労使・退職者がTOB反対
スポーツ用品大手のデサントは平成31年2月22日、同社退職者で構成する「デサントスピリット会」より、同社の筆頭株主である伊藤忠商事による
TOB(Takeover Bid:株式公開買付)に反対する声明文を受領したと発表しました。
伊藤忠商事は、平成31年3月14日までにデサント株を最大40%以上取得することを目標としていますが、デサント労使やスピリット会ともに連携し反対しています。
デサントは、平成26年の冬のソチ五輪閉会式で、選手たちが身につけていたウェアであり、数多くのトップアスリートにウェアを提供しています。
TOB成立ならデサント精神失われる
声明文では、
TOBについて「成立すれば、伊藤忠商事がデサントを実質的支配下に置く体制となり、デサント創業の精神が失われる」と指摘しています。
TOBは、株式の買付け期間や価格、株式数を新聞などで公告し、売主の株式を証券取引所を通さずに大量に買い付けることを意味しています。
よって、
TOBによる買付け価格は市場の取引株価よりも高く設定されてる事が多く、株式保有者は市場より高く売却できるというメリットがあります。
デサント創業者出身者が社長へ変わり状況が異変
伊藤忠商事とデサントは、平成6年から3代連続で伊藤忠商事の出身者がデサントの社長を務めるなど関係は深くありましたが、平成25年にデサント創業家の出身者が社長に就任し状況が変わってきました。
伊藤忠商事によると、社長交代でデサントは韓国での事業への依存が過度に高まり、国内事業が低迷しており、その事業内容も筆頭株主である伊藤忠商事側に知らされないまま決定されたと指摘しています。
今回の
TOBは、買収されるデサント側の合意を得ない「敵対的
TOB」と異例の事態となっています。
デサント株式利益還元のほとんどが韓国市場へ
伊藤忠商事の最大の経営改善案としては、韓国市場に過度に依存し純利益のほとんどを韓国市場が占めるなど、デサント株を約30%保有する伊藤忠商事としては改善したい意向です。
同社は、まずは日本市場を立て直し、進捗が遅れていると指摘される中国市場の強化を打ち出したい考えで、株式保有率を30%から40%に引き上げる考えです。
本来、デサントを完全にコントロールするなら過半以上の51%以上の株式を取得する方法もありますが、デサントの独自性を生かすために40%に留めるとしています。
伊藤忠商事の「敵対的
TOB」は成功するのかが今後、注目されています。
[2019.3.5更新]