倒産企業と生存企業の利益格差は拡大!リスケ利子負担も重荷に
倒産企業の減収、6割に!
東京商工リサーチによると、平成30年に倒産した企業のうち、減収企業は60.9%に達し、生存企業の47.1%を大きく上回りました。
国内の景気は大企業や円安による輸出企業が牽引し、経済指標でも「景気回復傾向」とされていますが、その恩恵に浴せない中小企業や零細事業者などの業績は回復が難しく、厳しい経営が続く上で、経営破綻に陥る実態が明らかになっています。
平成30年に倒産した463社のうち、「増収」は全体の39.0%に対して、「減収」は同60.9%と、売上不振から抜け出せない企業が倒産することが浮き彫りになりました。
倒産企業の赤字企業率は右肩上がり
倒産した463社のうち、52.5%に当たる242が赤字と半数を超える一方、生存企業の34万7,424社のうち22.0%が黒地に留まっており、
倒産企業と生存企業との収益力の格差が浮き彫りになっています。
倒産企業の赤字企業率(当期純損失の企業数の比率)は、平成28年に40.3%、29年は41.9&、30年は52.2%と急激に悪化している一方、生存企業の赤字企業率は、同21.5%、21.9%、22.0%とほぼ横ばいで推移しており、対照的な結果となっています。
リスケジュールの利子負担も重荷に
倒産企業の短期支払能力を判断する指標である当座比率は、平成30年では42.4%であった一方、生存企業では82.1%と、支払能力の格差は2倍以上に開いています。
東京商工リサーチによると、企業倒産は自己資金が脆弱であり、運転資金など借入金などに依存している状況であり、事業の改善に繋がらない中小企業金融円滑化法の
リスケジュール(条件変更)などによる有利子負債を抱えてしまう状況も多く見られます。
企業倒産の有利子負債構成率は年々上昇し、平成30年は67.4%にまで上っています。
景気回復!中小・小規模事業者には恩恵及ばず
平成30年に倒産した企業の約6割が売り上げの減少と歯止めかかっていない状況に、その過半数の企業が債務超過に落ちっており、資金繰りにも行き詰まった実態が見られます。
平成24年から始まった景気回復・拡大は、戦後最長を更新するものの、その恩恵を受ける中小企業や零細事業者には届いていないとも言えます。
今後も人員確保や人手不足など企業にとってはコストアップが予測され、収益力をいかに向上させるかが事業継続の分岐となりそうです。
[2019.2.22更新]