国交省:40年後には、街の2割が空き家に、所有者不明の住宅は激増
国土交通省が平成22年12月に発表したレポートによると、40年後には、現在の住宅地の約2割が誰も住まない土地となり、所有者不明の土地や住宅が激増するとありました。住宅など所有者が亡くなり相続人がいない場合や、連絡が取れない場合、家庭裁判所で残された財産の管理人を所有者の関係者の中から選定。この手続きが年々増加傾向にあり、所有者不明の土地や住宅は平成22年には1万4,000件を超えました。
空き家の倒壊、防災、防犯対策に自治体は苦悩
平成20年の総務庁の調査では、全国の空き家は757万戸あり、賃貸用や別荘などを除くと268万戸。このうち戸建てに限ると全国で181万戸あり、これが迷惑空き家の予備軍とも言えます。
自治体では、空き家の老朽化による倒壊や防災、防犯の面からも対策を練りますが、登記簿や戸籍を辿り親族の割り出しには時間がかかり、辿り着いても関わりたくないなど無縁社会化する面も見せます。空き家増加は、少子化、人口減少が進む日本の住宅事情の転換期となりそうです。
自治体空き家対策:財産権絡み強制できず
空き家が増加する背景には、所有者不明の場合や、相続する親族間でのトラブル、解体費用の捻出ができないなど様々な事情があります。特に土地の固定資産税は200平方メートルまでの住宅地の場合、1/6に軽減されるなど税制上の問題も残ります。
自治体では、空き家対策に関する条例をつくり対応に動き出しましたが、財産権にも絡むために強制力はもたせにくく、解体などの費用補助など所有者に促すことが基本となっています。どこまで強く所有者に迫られるかは今後の課題となりそうです。
所沢市空き家対策に条例:従わない所有者の名前公表で一定の成果
空き家対策の条例第1号となったのは所沢市で、管理不十分の空き家所有者へ対応するよう勧告や命令を行い、従わない場合は氏名や住所を公表する条例を平成22年7月に制定。20件が自主撤去に応じる効果を見せ、ふじみの市や豊前市が続き、現在では約30の自治体で制定され、検討する自治体も増えています。
全国の空き家は、この10年で約180万戸増加し、過疎地だけでなく高齢化が本格化する都市部でも所有者不明の空き家などが目立ち始めています。空き家対策に取り組む自治体の動きが今後加速しています。
[2012.10.11更新]