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地銀の不良債権処理費が増加!リスケジュール延長のその先は金融庁次第

不良債権処理費、5年ぶりの損失に

不良債権平成30年度上半期(平成30年4月〜9月期)の上場地銀80社・グループの不良債権処理のために積んだ費用は1,728億円に上り5年ぶりの損失となりました。
中小企業金融円滑化法によるリスケジュール(条件変更)を受けていた企業の一部の再生が難しく、地銀でも支えられなくなり、下半期も東日本大震災が起きた平成23年3月期を上回る可能性も出てきました。
2019年10月には消費増税もあり、地方経済には追い打ちとなり、不良債権が増加する懸念も高まっています。

リスケの副作用が徐々に?

地銀が不良債権で損失を計上せざるを得なかったのは、平成21年12月に施行された中小企業金融円滑化法の副作用でもあり、本来は取引先の資金繰りを支援し、破綻を防ぐ為に不良債権と分類される取引先を正常債権にすることが目的でした。
この猶予期間を活用し、地銀や企業、業界団体などとコミュニケーションを取り、新たな事業計画によって事業を再生することが目的でしたが、回復がうまくいかなければ不良債権となり地銀が損失を被ることになります。
一方、猶予中に業績を立て直せれば、その企業を正常債権に分類した地銀の目利きがあったことになります。

不良債権率、10年ぶりに増加

不良債権金融庁の調査によると、平成30年9月期の不良債権率は1.74%と同年3月期から0.03ポイント増加しており、増加に転じたのはリーマンショックが起きた平成20年9月中間期以来となります。
不良債権額では、2,000億円増え、4兆7,000億円と平成24年9月中間期以来となっています。
東京商工リサーチによると、中小企業金融円滑化法のリスケジュール活用後に倒産した企業は、平成28年に76件、29年は37件、30年は7月末時点で9件と減少傾向にはあるものの、廃業や解散の数は含まれず、実態が懸念されます。

リスケによりモラルハザードも生み出したことに

金融庁は、中小企業金融円滑化法により金融市場の新陳代謝の市場原理が回らず、モラルハザードを生みだしていないかと平成30年度をもって「検査マニュアル」を廃止します。
同庁では、同法終了後も、金融機関に対し企業へは同様の対応を要請しているものの、この先のリスケジュールの運用をどうするのか方向性が決まっていません。
ただ、地銀では、貸倒引当金を積み増し、この先の備えを優先する方向性に向かっていまるのが現状です。


[2019.1.8更新]

     

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