バブル崩壊から21年連続下落したものの下落率は年々縮小
国土交通省は9月19日、平成24年の基準地価(都道府県地価調査)を発表。7月1日現在、全国の全用途の平均は、バブル崩壊から住宅地が21年、商業地でも5年連続で下落しているものの下落率は2.7%と前年の3.4%から縮小しました。三大都市圏では、住宅地が前年の1.7%から0.9%、商業地はでは同2.2%から0.8%下落とマイナス幅は縮小しています。
東北被災地を含め、マイナス幅が縮小する都道府県が大部分を占め、都道県別で住宅地では39、商業地で42、下落率が縮小しました。
消費増税前の駆け込み、住宅着工戸数増加の見込み
地価の下落率が縮小しているのは、史上最低金利となった住宅ローンや住宅ローン減税など日銀や政府の政策効果ともいえます。さらに住宅需要も後押しとなっていますが、平成26年からは消費増税など需要の先食いでその後の大幅反動減も懸念されます。
全国の住宅着工戸数は、消費増税による駆け込みを見据え、平成24年度が前年度比3%増の約86万7,000戸。25年度も同6%増の約92万戸が見込まれています。
液状化も解消!都心湾岸エリア地価上昇
地価の下落が続くなか、超高層マンションが集中する都心湾岸エリアは、東日本大震災の影響で買い控えの動きが見えたものの、耐震や免震構造、非常用発電で24時間動くエレベーターなどが人気となり同エリアの基準地価は4%上昇。東日本大震災で液状化現象が問題となった千葉県浦安市の住宅地では、液状化対策が進み安心感の広まりとともに前年7.1%の下落から1.6%の上昇に転換しました。
地価上昇傾向は観光スポットでも見られ、東京スカイツリーのある浅草周辺で4.6%、押上駅付近で9.8%上昇しています。JーREIT(不動産投資信託)や私募ファンドへの投資資金が流入していることも市場回復に繋がっています。不動産私募ファンドは平成24年6月末で約18兆円と半年で5,000億円以上増加しています。
津波の被害想定で高知県は大幅下落
一方、南海トラフの巨大地震による津波の被害想定地域の発表で太平洋沿岸地域では下落した地域も目立ちます。高知県では住宅地で6.6%、商業地で8.4%と大きく下落。特に沿岸部で下落幅が大きく、都道府県単位で最も多く下げましたが、安全な街づくり計画への出発点となるよう望まれます。
国土交通省では、平成25年度の税制改正で縮小予定だった住宅ローンの最大減税額を据え置くことを要望しており、住宅取得支援を維持する政策はこれからも不可欠となります。
[2012.9.26更新]