仮想通貨、世界的に規制が整備されていない状況
ICO(Initial Coin Offering:仮想通貨技術を使った資金調達)コンサルティング会社のシンガポールの「AnyPay」は平成30年8月10日、収益配分型のトークン(証票)発行システムを同年中にリリースすることを発表しました。
ICOは、世界各国で価値がいきなり10倍になったり、翌日には半分になるなど各国で十分な規制、整備が構築できていない中、「AnyPay」は、金融商品関連法令を元に金融商品としてトークンを発行し、仮想通貨で資金調達を行う「STO(Security Token Offering)」を実施することを決めました。
トークン、仮想通貨市場上場で大きな利益に
仮想通貨は、世の中に流通し始めて価値を生み出し、仮想通貨市場に上場し、取引対象になることで価格が設定されます。
一方、ICOで発行されるトークンは、プロジェクトなどを実施する事業者が独自にトークンを発行し、価格も独自に決められたものでICOでの配布により入手する投資家などは限定された人しか手に入れられません。
ICOでは、投資家の配布したトークンが仮想通貨市場への上場で価格が大きく跳ね上がり、大きな利益を生んだことが相次ぎ、「STO」は一気に注目を集めました。
ただ、金融庁でも注意喚起しているように全てのプロジェクトが成功する保証はなく、投資時点より価格が下落したり、故意に便乗した詐欺案件も度々メディアで取り上げられています。
「AnyPay」、「STO」で20億円の資金調達の実績
「STO」の実施には、法的な要件や必要書類が多岐にわたり、トークンを発行する企業が一から実施することは難しいことから「AnyPay」がこれらを全てサポートするシステム開発を予定しています。
「AnyPay」は本来、ICOコンサルティング事業を展開しており、これまでカーシェアを展開しているインドの「Drivezy」の「STO」では3回にわたり実施、サポートし合計約1,800万ドル(約20億円)を調達した実績を持っています。
平成30年内にリリース予定の「STO」では、トークン発行機能や「STO」後の投資家への配当配布、IR(Investor Relations:財務状況、業務実績など提供する活動)を円滑に進めるためのツールが用意される予定です。
ブロックチェーン技術でより多くの企業へ資金を供給
「AnyPay」の「STO」での資金調達は、日本のブロックチェーン技術を支えている企業やファンドと協業し、サービスを展開するとしています。
ブロックチェーンは金融取引の記録であり、共有の分散型台帳技術や分散型ネットワークであり、オープンな金融サービスを実現する技術の1つとして注目されています。
AnyPay株式会社の木村取締役会長は、「ブロックチェーン技術を活用することで取引コストは劇的に下がり、これまで流動化できなかったものも可能となり、資金が世の中に円滑に行き渡る」とコメントしており、より多くの企業に新たな資金調達法「STO」を紹介していくとしています。
今年の「AnyPay」のリリースが期待されます。