日本公庫、平成29年度融資は前年度の52%増
日本政策金融公庫(略称:日本公庫)は、平成29年度(平成29年4月〜30年3月)に民間の金融機関と協調融資を拡大し、「女性活躍推進」や「社会貢献を手がける企業」、「社会的課題を解消する事業者」向けなどの融資が前年度から52%増の142億円に達したことを公表。
同じ政府系の金融機関である商工組合中央金庫が起こした不正融資問題を機に、積極的な資金供給が地銀と連携し協調融資が行われています。
同公庫の大阪国民生活事業でも、近畿地区(滋賀、京都、大阪、兵庫、なら、和歌山県)の平成29年度の創業融資実績は、433億円と前年度から2.9%貸出先も増え、過去最高額となりました。
基本は危機的企業へのセーフティネット支援
日本政策金融公庫は、国の金融機関として「創業支援」や「事業承継支援」、「事業再生支援」、「企業の海外展開支援」の4つを取り組むべきテーマとしていますが、根底である「セーフティネット支援」は機能を果たし続けています。
平成30年5月から7月にかけて西日本を中心に台風7号に続き記録的な豪雨が続いたことで、現地の多くの中小企業や小規模事業者が被災しました。
経済産業省は、被災企業の深刻さから日本政策金融公庫や商工組合中央金庫、信用保証強化になどとともに、金融支援で「セーフティネット保証4号」を適用し、さらに融資の金利引き下げを決定、「セーフティネット支援」が生かされています。
民間金融機関からバッシング?「民業圧迫」の真実は
企業の融資において、日本政策金融公庫は財政資金を使い融資できると民間の金融機関より「民業圧迫」と指摘されているのも事実です。
ただ、全国地方銀行協会が実施したアンケートによると、日本政策金融公庫が「民業圧迫」と取られる事例について260件判明しましたが、平成29年度の民間金融機関との協調融資は2万3,000件に上るのも現状です。
平成30年度も民間金融機関との協調融資は前年度より増加ペースが上回っているのも実体で、地銀、第二地銀などにとっては良きパートナーとも言え、「民業圧迫」は、過去の経緯に不満を持つ高齢層経営陣によるものと考えられています。
「地方創生」に地域の金融機関と連携で無担保融資
日本政策金融公庫は、平成30年8月1日より、地域の経済活性化の牽引役となる中小企業に無担保で資金を供給するCLO(Collateralized Loan Obligation:貸付債権担保証券)ローンを地域の金融機関を通じて募集を開始しました。
CLOローンは、証券化を活用し、全国の地域の金融機関と日本政策金融公庫、機関投資家との連携金融商品で平成30年12月28日まで募集の受け付けており、安倍政権の「地方創生」を支援する施策とも言えます。
平成30年8月1日現在、参加金融機関は山形銀行ほか地銀3行と、西武信用金庫ほか11の信金、長野県信用組合の17の地域金融機関で、今後も参加金融機関が増えることで、地域を牽引する中小企業に関連する企業も相乗効果が得られ地域の活性化にも期待が込められます。