帝国データバンク、潜在する休廃業を予測するサービス開始
帝国データバンクは平成30年7月25日、全国の83事業所、1,500人以上の専門スタッフによる調査で収集した企業情報に基づき算出する休廃業予測モデル「QP」と名称をつけたサービスを8月1日から開始することを発表しました。
「QP」は、国内の中小企業の約130万社が「休廃業・解散」するリスクを業績や経営者の年齢などに基づいて10段階で評価し、格付けするサービスで、世界的にも珍しいサービスです。
同社では、「QP」サービスにより、金融機関による事業承継や、地域を牽引する企業の再編などをサポートし、日本独自の先端技術や雇用の消滅を防ぐとしています。
「休廃業・解散」企業、毎年2兆円の売上、7.5万人の雇用が消滅
平成29年の企業の「倒産」件数は8,376件とリーマン・ショック以降、中小企業金融円滑化法のリスケジュール(条件変更)などの支援で減少傾向にありますが、「休廃業・解散」企業件数は2万4,400件と「倒産」件数の約3倍、10年以上2万件を超えているのが現状です。
約130万社の企業情報をデータ化、ミスマッチ防止に効果
これまで企業の「倒産」に関しては予測に対しての研究が行われてきましたが、「休廃業・解散」に関する解明は進んでこなかったのが実態です。
帝国データバンクでは、約130万社の中小企業に対し、調査員によって取材し、事業内容や実績、取引先、経営者の特性などの情報をデータベース化し、「休廃業・解散」リスクを算出することを実行、ビッグデータとして活用できるようになりました。
リスク内容が不明確であれば、事業承継や再編などを支援する安倍政権や自治体などの予算の使途がマッチングせず、無駄な予算となることもあるため、帝国データバンクでは「休廃業・解散」企業リスクデータを公共機関へ提供する考えです。
経産省、地域の牽引企業を選定
中小企業のビッグデータにより、地域内外での取引内容や雇用、利益などのデータが解析され地域未来牽引企業がわかってきます。
経済産業省では平成29年12月22日、地域経済の牽引役となる中核企業として、この地域未来牽引企業2,148社を選定し、地域の特性を生かし、高い付加価値や差別化を創出することを期待しています。
そのため、同省では全国の経済産業局に「地域未来投資促進室」を新設し、中小企業からの相談や問い合わせに応ずるとしています。
中小企業に潜在する「休廃業・解散」リスクを再編やM&A(Mergers and Acquisitions:企業の合併・買収)など積極的な戦略が期待されます。