資金調達の多様化:カゴメはトマトを動産担保に融資
カゴメは、ジュースやソースの原料となるトマトを担保に9月下旬にも金融機関から10億円を借り入れます。
同社の海外子会社などは、収穫時に資金需要が集中し運転資金の借入れは不可欠で、小規模な子会社では信用力が低くカゴメ本体から貸付を行っています。
カゴメは今後、欧州債務危機の影響で体力が弱まる金融機関からの融資圧縮に備え資金調達の手段を多様化。本体からの貸付を圧縮し、海外子会社に動産担保融資の利用を促します。
不動産担保の融資残高154兆円をピークに20年で半減
動産担保融資は、不動産所有の少ない中小・零細企業や農林水産業者、個人事業主が利用することが多く、信用力を背景に金融機関から資金調達する大企業では異例。カゴメでは、動産担保融資で担保価値の評価法や借入れ手続きなどのノウハウを蓄積するとしています。
20数年前のバブル期には、不動産価値が高まり金融機関から融資の際、不動産を担保にすることが急拡大。地価高騰を背景に金融機関は融資を延ばし、不動産を担保にした融資の残高は平成4年度に約154兆円に膨らみましたが、23年度には約半分の約76兆円まで落ち込んでいます。
動産担保融資:政府、日銀後押し
企業の資金調達を円滑にするためには、不動産や個人保証に過度に依存しない動産担保融資の取組みが求められます。動産担保融資は、政府も取組んでおり、平成19年に動産担保融資への信用保証を対象範囲に加え流動資産担保融資保証を創設。日銀も動産担保融資など貸付枠を平成23年には5,000億円設定しました。動産担保融資は、金融機関でも徐々に取り組み始めてきました。
動産担保融資の事例では、担保として機械設備や動植物を含めた在庫など多岐にわたっています。これらを活用した資金調達の余地は大きく、金融円滑化にもつながります。
動産担保融資確率にはビジネスモデルを構築
動産担保融資は拡大の余地が大きいものの、担保動産の評価や管理、金融機関の事務負担など課題も残ります。金融機関では、動産担保が融資事業として確立されるようカゴメなど動産担保融資のビジネスモデルの構築も必要となります。
政府による全業種100%保証の緊急保証融資は、11月1日から約4割の業種が対象から除外。さらに平成25年3月には中小企業金融円滑化法が終了。恒久的な資金調達の必要性が高いなか、動産担保融資は拡大が期待できる融資形態となりそうです。
[2012.9.20更新]