海外企業への買収額、12兆円弱に拡大
M&A(Mergers and Acquisitions:企業の合併・買収)調査会社のレコフによると、平成30年上半期(1月〜6月)に日本企業による国内外企業のM&Aが1,798件に上り、前年同期から33%増加しました。
このうち、海外企業へのM&Aは340件で同10%増加し、海外企業への買収額は11兆7,361億円と前年同期の3.2倍、過去最高に拡大しました。
日本企業の海外企業へのM&Aは、業種を問わずに拡大しており、海外に成長機会を求める動きが活発化しています。
日銀のマイナス金利政策で買収資金の調達も可能に
日本企業はこれまで、外部企業と組んだり買収することはせず、成長する独立主義が主流でしたが、日銀のマイナス金利政策によりM&Aへの多額の資金も調達可能となっているのも背景にあります。
米国の経済・金融情報の配信を手がける大手総合情報サービス会社・ブルームバーグ社によると、日本企業は平成29年より外貨建て債権の発行を過去最大に増加し、M&Aの資金確保に積極的と言います。
日本企業は、海外債権市場でここ10年で最も安く資金調達に成功しており、円が上昇している点もM&A活発化の要因となっています。
武田薬品、アイルランドの製薬会社、7兆円で買収
日本最大の製薬会社の武田薬品工業は、アイルランドの製薬会社シャイヤーを7兆円と多額で買収。
ソフトバンクも米国の自動車配車サイトのウーバーテクノロジーズに出資し、ソニーの米国子会社であるEMIミュージックパブリッシンング運営会社の株式を数千億円で取得しました。
トヨタ自動車は、シンガポールの自動車相乗りサービスサイトのライドシェア会社のグラブに出資し、リクルートホールディングスは、米国のの求人サイトのグラスドアを買収しました。
AI、IT関連企業のM&Aも拡大予測
日本の人口が減少する中、日本企業は成長を求め、AI(Artificial Intelligence:人工知能)やビッグデータを活用するIT(Information Technology:情報技術)などの企業のM&Aも拡大すると見込めます。
日本企業は、今ではM&Aが経営戦略上、当然のように選択肢の一つになっています。
買収された企業の地域も海外企業は、東京都の企業に次いで2番目となるなど、日本企業の積極的な海外進出の状況がデータからも明らかになっています。