中小の先行投資、運転資金のサポートを想定
FinTech(フィンテック:Finance「金融」とTechnology「技術」を合わせた造語)ベンチャーのエメラダは、中小企業向けのオンライン融資サービスを平成30年5月23日より開始しました。
既存の融資とは異なるFinTech分野において、中小企業やベンチャー企業へ新たな資金調達の手段となるサービスを提供。
「エメラダ・バンク」は、先行投資や運転資金のサポートを想定し、融資額は500万円〜5,000万円で期間は5年以内としています。
初期運営には、地銀の福島・東邦銀行や三重・第三銀行、東京・城北信用金庫、奈良・大和信用金庫などが参画します。
返済は柔軟に!変則的・季節ごとの売上高にも対応
融資審査では、決算書や銀行口座の入出金情報のみならず、SNS(Social Networking Service:趣味、嗜好や友人とのコミュニケーションサービスのサイト)など、インターネット上での情報分析結果も掛け合わせることによって、スピーディで高度な審査を行うとしています。
これまでの金融機関からの融資では対応できなかった、変則的で柔軟な返済計画にも対応し、季節要因による業績変動が激しい企業に対しても、返済額を増減させることも可能としています。
将来的には、法人向け金融システムのマーケットプレイスを目指すといいます。
欠かすことのできない金融機関との連携
「エメラダ・バンク」の立ち上げに際し、注力したのが金融機関との連携で、既存の金融機関が融資できない中小企業へ貸し出すことが最大の特徴となります。
「エメラダ・バンク」は、基本的には金融機関と連携して運営する必要があると考え、コンプライアンス基準やセキュリティ基準を満たし、サービス開始当初から複数の金融機関と連携できていることが評価できます。
また、企業の入出金情報を取得し分析することも可能になりましたが、取得要件は金融庁が定義しているため、「エメラダ・バンク」は、金融庁と議論しながらサービス開始に至ったと言います。
金融機関、自らAI、IT駆使し新サービスも
米国では、すでに中小企業向け融資サービスを提供するFinTechベンチャーのオンデックと米金融大手のJPモルガン・チェースが連携し融資を強化しています。
「エメラダ・バンク」も金融機関と連携することで資金の貸手と借手が集まるマーケットプライスを描きますが、参画する金融機関も自行の存在感を改めて考える必要もありそうです。
AI(Artificial Intelligence:人工知能)やIT(Information Technology:情報技術)を駆使し、業務効率化で仕事が奪われるとの騒がれるのは金融機関だけでなく全産業にも言えます。
AIやITに使われるのでなく、使いこなす側に回らなければならないと考えられます。