300億円の「融資ファンド」創設
欧米で普及している投資資金を融資に回す「融資ファンド(プライベートデット)」は、平成29年12月に独立系のトパーズ・キャピタルが300億円のファンドを創設。
野村ホールディングスが資本参加し、営業を強化するなど日本でも「融資ファンド」が広がる予兆です。
この「融資ファンド」は、財務が悪化傾向の銀行など金融機関が融資しにくい中小企業などへ、代わりに融資します。金融機関が融資しにくい中小企業を倒産、廃業、解散などから救い支援する融資です。
既に120億円「融資ファンド」で41社に融資実績あり
トパーズ・キャピタルは平成24年に設立し、すでに1号ファンドを創設しており、政府系の地域経済活性化支援機構や地銀、保険会社など20以上の機関投資家より約120億円を集め、41社に134億円を融資した実績があります。
今回の「融資ファンド」2号は、この約倍近くに拡大し、新たに企業年金基金からも資金を調達する予定で、機関投資家も倍以上に増やす方針です。
トパーズ・キャピタルによると、平成30年4月16日には、ファンド2号のファーストクロージングを終了したことを案内しています。
金融機関の融資限度額を超えた額を「融資ファンド」が対応
銀行など金融機関は、不良債権と正常債権の狭間となる「要注意先」に分類された企業に対し、追加融資を制限したり融資の要請に応じないことも少なくありません。
融資の限度額が壁となって企業の資金ニーズを銀行融資だけでは満たすことができないことも多く見られます。
5億円の資金ニーズがある企業が、銀行の融資限度額3億円をすでに融資されている場合、2億円分の融資が応じられない場合に「融資ファンド」が金融機関に変わり、企業へ融資することになります。
「投資ファンド」と異なり経営権は要請しない「融資ファンド」
「融資ファンド」は、企業の資金をつなぎ、その企業が短期間で正常軌道へ戻れるよう支援し、再度、銀行取引できるようにします。
仕組みとしては、「投資ファンド」と同様ですが、株主として経営権を要請することがないことが異なり、金利はやや高めとなり、融資期間も約1年と短くなります。
「融資ファンド」の広がりは、日銀のマイナス金利政策で国債などで運用できなくなった機関投資家が資金を出すようになったためと考えられ、ファンド2号は4%程度の利回りを目指すなど、今後も中小企業の資金ニーズに応じれるよう拡大していくことが期待されます。