FinTechサービス拡大の動き
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが平成30年5月10日に、米アップルが米金融大手のゴールドマン・サックスと提携し、クレジットカード事業を検討していることが報じられました。
大手IT(Information Technology:情報技術)と大手金融機関が手を組みサービスをするFinTech(Finance「金融」とTechnology「技術」を合わせた造語)を強化する動きが広がりつつあります。
日本でもネット専業のソニー銀行や静岡銀行、広島銀行などがAI(Artificial Intelligence:人工知能)を活用した融資を実証実験、導入した経緯もあります。
アマゾン、グーグルも金融事業へ
ウォール・ストリート・ジャーナルでは、アップルとゴールドマン・サックスが個人向け融資でも提携を検討していることが報じられ、今後は両社で提携を深める可能性が大きくあります。
米国では、アマゾン・ドット・コムやグーグルなど大手IT企業が相次ぎ支払いの決済や小口の融資など金融関連の事業を強化しており、既存の銀行など金融機関にとっては潜在的に大きな脅威となっています。
これは日本でも同様のことが起こる可能性は高く、米国と日本のITサービスの時間差は縮小しているのが現状です。
米国の金融機関JPモルガン・チェースは、すでにアマゾン・ドット・コムと預金口座に類似したサービスを検討しており、この流れは加速しそうです。
ゴールドマン、すでに個人向け融資を実施
ゴールドマン・サックスは、平成28年より「マーカス」という負債に困る一般消費者向けのオンライン融資を行なっており、ここ数年、米国でクレジットカードの負債を軽減するために役立てています。
「マーカス」は設立1年で個人向けに融資総額20億ドル(約2,180億円)を融資しており、同社では、これまで主力の投資事業が失速傾向にあり、新たな融資事業で収益を維持するとも言われています。
ここまでの融資実績は、「マーカス設立前に約1万人の消費者の負債に関する調査を行い、消費者の立場に立った商品」を開発・提供することを目的に「マーカス」を設立したからでしょう。
アップル、スマホで決済「アップルペイ」利用者8千万人超え
一方、アップルもスマートフォンにクレジットカードやデビットカードを登録しモバイル決済できる「アップルペイ」を通じ金融事業の拡大を図っています。
英国の調査会社ジュニパー・リサーチによると、「アップルペイ」は平成26年にサービスを開始して以来、8,600万人が利用しているといいます。
アップルでは、さらに金融サービスの拡大に向け、個人間での送金サービスを行う「アップルペイ・キャッシュ」を導入。同等のサービスを行うペイパル傘下の「ベンモ」に対抗する狙いです。
アップルとゴールドマン・サックスが組んだFinTechサービスは、今後、日本でも同様のサービスが提供される予測があります。
[2018.5.15更新]