東証REIT指数:年初から15%上昇
政府は7月に閣議決定した日本再生戦略のなかで、平成32年までに不動産市場の規模を現在の2倍にする目標を受け、9月12日にはREIT(不動産投資信託)の活性化について関連業界や投資家などが集まりセミナーが開かれました。REITは投資家から集めた資金でオフィスビルやマンションを購入し、賃料や売買収益を分配。株式のように市場での売買も可能です。
東京証券取引所では、上場する全てのREITの値動きを示す指数が年初から15%上昇と紹介。不動産証券化協会では、REIT市場の活性化で資産デフレから脱却できると国内経済にとっても重要と指摘します。
JーREIT:為替相場や海外情勢に影響されにくい、日銀も買入れ
REIT市場は、平成19年5月に過去最高値を記録後、サブプライム問題やリーマン・ショックで翌20年10月に急落。その後、平成22年から復調し始め、日銀が量的金融緩和策の一環でREITを買入れたことで、投資家心理も高まり回復してきました。
国内景気が緩やかに回復する兆しを見せるなか、収益基盤が国内不動産のJーREITは、為替相場や海外情勢に影響されにくいことから地銀や外国人投資家なども好意的です。JーREITは、東証1部の配当利回りや国債の利回りを大きく上回ることも活性化への下支えとなっています。
高齢化突入、ヘルスケアREIT:高齢者向け施設・病院・住宅へ投資
政府は、JーREIT活性化に向けサービス付き高齢者住宅や有料老人ホーム、病院などを収益基盤としたヘルスケアREITの創設を目指します。10月5日には1回目の会合をもち、年度末までにガイドラインナど報告書をまとめ、上場を視野に入れた準備に入るとしています。
政府は、本格的な高齢社会を迎え、高齢者を対象とした住宅や施設などの供給拡大を図ります。ヘルスケアREITは、米国やシンガポール、マレーシアでも上場しており、病院などの利用者は景気動向にも影響がないため収益は安定とあります。
60万戸のサービス付き高齢者向け住宅の整備資金にも
ヘルスケアREITは、不動産証券化協会でも検討され、ヘルスケア関連の不動産はニーズの高まりで安定した賃貸収益が期待できととしています。さらに運用面でもJーREITの運用対象に適す側面を持つとしています。
高齢者向け施設は現在、圧倒的に不足気味で政府は在宅医療の整備を進めますが、役割を担うサービス付き高齢者住宅は平成32年までに60万戸の整備目標を立てています。整備資金の調達でも日本のヘルスケアREITの創設が注目されます。
[2012.9.14更新]