ネット上で店舗をオークション、売却
経営悪化が深刻な米百貨店大手「シアーズ」を傘下に持つシアーズ・ホールディングスは、不動産の売却により資金調達を目指しており、平成30年2月から、インターネット上で一部店舗を売却しています。
売却する予定の店舗は黒字運営の16店舗で、このうち15店舗は大規模なショッピングモール内にあり、米不動産サービス大手のクッシュマン&ウェイクフィールドがオークションサイトのリアル・インサート・マーケットプレイスと提携し、売却する方針です。
売却の条件はリースバック契約
シアーズ・ホールディングスは、売却後はいづれの店舗でもリースバック契約を前提としており、一部に限りホテルや住宅、レンタルスペースにも転用可能としています。
「シアーズ」不動産は売却され資金を調達し、賃料を払い「シアーズ」運営を継続する予定です。
クッシュマン&ウェイクフィールドによると、これまでに小売業者や不動産開発業者、不動産投資ファンドなど約200の投資家が関心を示しているとしています。
「シアーズ」の買い手の募集期限は今年5月1日としており、選定された買い手候補が数週間後のオンライン入札に招かれると言います。
多数の有名ブランドを保有する「シアーズ」
「シアーズ」は、米国やカナダ、メキシコで展開しており、傘下には米カジュアルウェア最大手の「ランズエンド」など「シアーズ」で販売してもらうため、多くの有名ブランドを保有しています。
百貨店というと、日本では「三越伊勢丹」や「西武・そごう」など想像できますが、「シアーズ」は、高級百貨店とは異なり、廉価量販に軸足を置き、日本でいう「イオン」などに近い存在です。
「シアーズ」は昭和48年、シカゴに「シアーズ・タワー」本社ビルを建て全米一の高さを誇っていましたがすでに売却済み。平成30年1月期の決算は、前年同期比で167億200万ドル(約1兆7,370億円)の減収に陥りました。
トランプ大統領「アマゾンが小売業を倒産に追い詰めている」
このような百貨店など小売業の売上高減少は日本も同様ですが、少子高齢化、人口減少が進む日本では訪日外国人客の消費によって生き残っているのが現状です。
米トランプ大統領も、ショッピングモールから撤退する小売業を見つめ、「(米ネット通販)アマゾンが小売業を倒産に追い詰めている」とツイッターでコメントするほどです。
トランプ大統領は、日本が同盟国でありながらも日本製品の関税引き上げを決め、「アメリカ・ファースト」を貫きますが、グローバル化、自由貿易が進むなか、今後の小売業の動向が注目されます。
[2018.4.17更新]