中古住宅購入希望者:本当に知りたい情報は修繕履歴や耐震性、省エネ性
国土交通省は9月8日、中古住宅の購入希望者に価格や間取り、広さなどの基本情報だけでなく、修繕履歴や耐震性能を公開できるシステムの開発を進める方針を決めました。
現在、中古住宅の購入希望者は、ネットを通じ手軽にパソコンなどで検索することができますが、修繕した履歴や時期、耐震補修、省エネ性能など、購入に際し、本来知りたいと思う部分の閲覧はほぼ不透明であることが現状です。同省では、購入希望者に対し充分な物件の詳細情報を提供できるシステムの構築によって安心して中古住宅を購入できる環境整備を目指すとしています。
中古住宅市場:欧米は8割以上、日本はわずか1割強
日本の住宅市場における中古住宅の占める割合は、平成20年でわずか13.5%。平成21年、米国の90.3%や英国の85.8%に比べ極端に低い水準です。政府は平成24年7月末「日本再生戦略」を閣議決定し、中古住宅流通市場とリフォーム市場の規模を平成32年までに現在の倍の20兆円に拡大。良質な住宅ストックの供給と不動産流通システムの改革を打ち出しました。
国土交通省は、法務局や自治体とも連携し、土地の建築制限や地盤、権利関係など不動産取引に必要な詳細な情報も公開するとしています。
国交省:詳細な中古住宅情報を購入希望者に提供
国土交通省では、平成23年10月に不動産流通市場活性化フォーラムを立ち上げ、不動産流通市場の活性化に向けた対策を検討。欧米に比べ極端に低い中古住宅の売買物件を拡大させ、中古住宅とリフォームを合わせたニーズに対応させるとしています。
同フォーラムでは、現在の不動産流通市場の問題点を洗い出し、官民が共同で取り組む課題を公表。6月の提言によると、「購入希望者が求める情報が的確に提供されていない」「不動産業者など購入希望者ニーズに充分に応えられていない」点を課題とし、不動産流通システム改革の必要性を強調しました。
莫大な物件情報掲載:REINS一般公開へ?
国土交通省は、不動産流通システムの中核である指定流通機構のREINS(Real Estate Information Network System:レインズ)の見直しに着手。REINSは、宅建業者間で物件情報の登録、閲覧が行われており、膨大な物件情報が蓄積され中古住宅市場の傾向や相場などが明確にされています。しかし、登録必須以外の情報の登録率は50%未満と購入希望者を満足させる情報には達していません。
同省では、平成25年度予算で専門的な見地から調査、研究を行いREINS運用のあり方について、購入希望者にとって必要な情報を公開できるよう検討し、新たなシステムのあり方について整備が進めるとしました。
[2012.9.11更新]