増税前に新築、建て替え:住宅展示場来場者6.2%増
消費増税を前に住宅やマンション購入の検討を急ぐ動きが進んでいます。住宅展示場やモデルルームへの来場者も増えており「いつまでに買えば得か」など具体的な問合せも多く見られます。住宅展示場協議会によると平成24年7月の住宅展示場への来場者は、19万6,000組と前年同月から6.2%増加。新築や建て替えなど消費増税法案の成立で消費者マインドに大きな変化が見られます。
住宅各社:モデルハウス倍増、納期短縮、戸建て用地取得を拡大
積水化学は、平成24年度にモデルハウスを前年度の2倍に当る100棟を開設。20〜30代で初めてのマイホームを検討する家族をターゲットに住宅用地の在庫を約1割増やし駆け込み特需に対応します。
ミサワホームは、注文住宅の売上の3割を占める主力商品を5年ぶりに全面刷新。間取りなどの選択肢を絞り込み、設計期間を短縮。税率引き上げ前に契約を完了したい消費者ニーズに応えます。
パナホームは、戸建ての用地在庫を前年度の50億円から460億円に拡大。大和ハウス工業も用地取得を増やす方針と住宅各社、今秋から来秋にかけ受注1〜2割増を見込んでいます。
大手4行、住宅ローン主力10年固定型:2ケ月連続過去最低金利
住宅取得を後押しする住宅ローンの金利は、歴史的な低金利となり、大手金融機関では低金利競争に限界も見えてきました。大手4行の主力商品である10年固定型住宅ローンは、過去最低基準となった先月に続き9月も同水準に据え置きました。しかし10年超えの固定型では、長期金利の上昇傾向を受け、4行とも0.05〜0.15%引上げる動きも見られます。
地方銀行でも固定型の金利引下げの動きが相次いでおり、金利引下げ競争の激しさが増しています。金融機関にとって個人向け住宅ローンは、安定収益を見込める商品。中小企業などへの融資が伸びないなか、住宅ローンの新規顧客獲得にしのぎを削ります。
政府、増税負担緩和策:住宅ローン減税拡充、減税額増加も詳細は今年末?
住宅業界では消費増税後の落ち込みを抑えようと業界団体など、住宅購入者へ増税分を還付するよう政府へ要望。国土交通省と財務省では、消費増税の消費者の負担緩和に住宅ローン減税の拡充を検討しています。
住宅ローン減税期間は、現在10年ですが15年に延長し、減税額も平成25年の最大200万円から26年は最大1,000万円規模に増やすことを検討。さらに所得税額が計算上の減税額を下回る場合は、差額を住宅版エコポイントなどで還元するしくみも検討していますが、詳細の詰めは今年末の税制改正論議と住宅業界や住宅購入検討者を迷わせます。
[2012.9.5更新]