金融相:円滑化法見据え、改めて中小企業の実情を懸念
松下金融相は平成24年7月27日に開催した財務省局長会議において、中小企業の実情について強い懸念を示しました。財務局は地域の金融機関の検査・監督を行う金融機関の窓口であり、その局長へ改めて金融相が懸念を示したことは強い危機感を抱かせます。
金融庁はすでに、平成21年12月に施行された中小企業金融円滑化法を、平成25年3月で終了する方針を固めています。同法による金融機関への条件変更の申請は300万件を超え、資金繰りや住宅ローンの負担軽減など一定の効果を見せました。
金融庁:金融検査マニュアルを明確化しDDSを推進
中小企業金融円滑化法は、欧州債務危機や東日本大震災、円高の進行、産業の空洞化など様々な影響を受け時限措置ながら2度にわたり延長。地域の金融機関にとっては、延長を繰り返すことで経営改善が見込まれない企業の債務が不良債権化しかねないとの懸念も出始めています。
金融庁では、さらなる対策として平成23年11月に金融検査マニュアルの運用を明確化し、既存の借入金を資本性借入金の条件に合致するよう変更するDDS(Debt Debt Swap)の活用を促します。
DDS活用:2年で6.7倍に増加
DDSは、借入金が資本に置き換わることで企業のバランスシートが改善され、新たに融資が受けやすくなる利点があります。金融庁では、平成24年7月に全国の金融機関に対してDDSの活用状況についてアンケートを実施。
地域金融機関全体のDDSの活用件数は、平成22年度に61件でしたが翌年に金融検査マニュアルを明確化したことにより平成23年度は85件、24年度は今後の予定も含め409件と2年で6.7倍に増加する見込みとしています。
金融機関の出資規制;5%ルールが20%ルールに?
金融庁では、さらに企業の創業・再生支援に金融機関による企業への出資規制を緩和する方針を示しています。現在5%の出資比率を見直し、10〜20%程度に引上げ、創業間もない企業や経営再建中の企業の株式を多く取得し支援を後押しします。
金融庁はベンチャービジネスの育成や中小企業の経営改善支援に主眼をおき、平成25年3月で打ち切られる中小企業円滑化法後も支援しやすい環境を整えます。
[2012.8.31更新]