IMF:サブプライム、リーマン、欧州危機は不透明な不動産情報が要因
国土交通省は平成24年8月22日、「不動産価格指数(住宅)」の試験運用を8月29日から開始すると発表しました。同省では、平成18年より「不動産取引価格情報」の提供を開始しており、ここに集積された年間約30万件の住宅やマンションの取引価格情報を活用。平成20年度の平均指数を100として、物件ごとに個別の取引特性などを除外した上で指数化するとしています。
IMF(国際通貨基金)では、サブプライムローン問題やリーマン・ショック、欧州の不動産バブル問題などにより世界的な金融・経済危機を引き起こしたとして、不動産価格の国際共通指針のもと各国が的確に各国の不動産動向を把握するようG20諸国に勧告しました背景があります。
不動産市場の動向:タイムリーに、国際的に比較が可能
「不動産価格指数(住宅)」は、国際指針に基づき作成され更地、建物付土地、マンション価格の月ごとの変化を全国、ブロック別(北海道、東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州、沖縄)、都市圏別(南関東、名古屋、京阪神)に毎月公表されます。
指数の公表により、経済に大きな影響を及ぼす不動産市場の動向をタイムリーに、国際的に比較することが可能となり、マクロ経済政策や金融政策などに活用されることが期待できます。さらに、不動産市場の透明性が向上することで、国内外からの不動産投資の活性化も促します。
中古マンション動向は東証が試験的に指数公表
一方、不動産価格の動向に関する一つの指標として東京証券取引所では平成23年4月より、「東証住宅価格指数」を毎月発表しています。同指数は、首都圏の既存(中古)マンションに関して、レインズ(東日本不動産流通機構)に登録された成約情報をもとに、物件の価格変動について試験的に指数を算出し発表。JーREIT(上場不動産投信)を含めた不動産投資市場の活性化が期待されるほか、既存住宅の価格変動に関する国際的な比較も可能となっています。
日本再生戦略:中古市場20兆円、JーREIT規模50%引上げ
政府は7月30日、平成32年までの経済・産業界における成果目標を掲げた「日本再生戦略」を決定。中古住宅やリフォーム市場の規模を20兆円に倍増。JーREITの資産規模を平成23年度比で50%引上げる目標を掲げました。
「不動産価格指数(住宅)」は、国内外投資家へ市場状況を的確に提供し、市場活性化への重要な指標となりそうです。
[2012.8.28更新]