3大都市圏不動産取引額1.3兆円、4年ぶりの最高額
平成24年上半期(1月〜6月)、東京、大阪、名古屋の大都市圏のオフィスビルや賃貸マンションを中心にREIT(上場不動産投資信託)を含む不動産売買額は4年ぶりに最高額となりました。半期単位の比較では、リーマン・ショックが起きた平成20年下半期(7月〜12月)以来の取引額となり、1兆1,375億円と前年同期からも10%増となっています。
上半期REITへの資金1,995億円、リーマン以来最高額
不動産市場の動向は、企業や投資家などの消費や投資を刺激しプラス成長へ促す目安ともなります。不動産市場の回復の兆しの背景には、日銀によるゼロ金利政策の継続や、欧州債務危機など海外からの逃避資金が国内の不動産市場に流入したように見えます。
さらに、REITへの投資による配当収益率は年5%に上り、10年満期国債0.7%レベルの約7倍。平成24年上半期のREITへの投資資金は、1,995億円とリーマン・ショック以来最高額となりました。
個人向け国債の大量償還、低金利で社債、REITへ投資
REITへの資金流入が7月も続く要因として、平成18年に発行を開始した5年満期の個人向け国債の大量償還の影響も考えられます。7月の償還額は、1兆5,964億円と月次では過去最高となっています。
再び手元に戻った資金は、以前のような利回りが得られない国債や、欧州債務問題で株価急落の可能性もある株式を避け、高配当が期待できそうな社債やREITなどに流入しています。
投資口価格が大きく変動しない私募REITに人気!
REITは、TOPIXをはじめ株式市場の値動きに連動し、結果的には株式のリスクをとっているとも言えます。同じREITでも私募REITは、証券取引所に上場せず、年2〜4回不動産鑑定評価額を基準に時価を決めるため投資口価格が大きく変動しません。配当収益率も4〜5%とREITに見劣りせず、個人投資家など人気を集めています。
平成22年11月に野村不動産が私募REIT運用を開始し、その後三菱地所や三井不動産など大手が参入。今年8月には、資産運用系企業では初となるゴールドマンサックス・アセットマネジメントが私募REITを立ち上げます。
[2012.8.24更新]