金融機関の出口戦略は「企業仕分け」となるか
平成24年1月〜7月のモラトリアム(中小企業金融円滑化)法による、返済条件変更後の企業の倒産件数は前年同期から83.8%増の125件と急増しています。産業別で見ると、建設業が全体の約3割となる37件で、次に製造業の34件、卸売業の19件と続いています。
金融庁は、昨年の東日本大震災や円高の影響を受け、同法を平成25年3月まで再延長しましたが、金融機関へ「企業仕分け」とも言える出口戦略が打ち出されていることから再延長の可能性はなく、支援策は打切りを迎えようとしています。
モラトリアム申請は300万超え、倒産はまだ氷山の一角
長引く円高や国内産業の空洞化など景気低迷が続くなか、業績不振によるコスト削減やリストラ策が報じられ企業は依然厳しい状況におかれています。モラトリアム法施行から2年半が過ぎ、同法への申請は300万件を超えており、返済条件を再申請する企業も増え、今後業績が好転しない企業のさらなる倒産増加が懸念されます。
モラトリアム法と同様に、金融支援策であった「景気対応緊急保証」は、平成24年3月に終了しましたが、融資を利用した企業の1月〜7月の倒産は、前年同期から32.8%減り49件にとどまりました。
不動産リースバックで資金調達、不動産の利用も可能
資金調達により資金繰りの健全化が行われば経営は安定します。モラトリアム法同様に、余力がある間に新たな改善計画によって事業を立て直すことも可能です。
不動産リースバックは、資金調達に有効で保有する不動産を第三者に売却して資金を調達します。売却だけでは事業が成り立ちませんが、リースバック契約を締結することによって毎月賃料を支払、事業に必要な不動産も使い続けることが可能です。また、バイバック契約という特約を追記することにより、一定期間、賃料を払い続けて不動産を利用し、事業改善とともに不動産の所有権を回復することも可能です。
体力を温存し、余裕のある判断、事業改善計画
モラトリアム法終了により、金融機関へ約定通りの返済が始まると業績が好転しない企業には厳しい結果が待ち受けます。不動産リースバックは、事業所や工場、倉庫など不動産の売却で体力を温存し、余裕を持たせることによって経営の健全化に向けた戦略を打ち出すことが可能となります。切羽詰まった判断は、余裕がなくなり適正な状況判断ができず、最悪の場合は不動産の競売にも繋がります。
モラトリアム終了後の対策として、終了前に早めの不動産リースバック、バイバックで経営健全化を目指します。
[2012.8.23更新]