昨今報道されている「フィンテック:Finance(金融)+Technology(テクノロジー)」は最新のIT(インフォメーション:情報+Technology:技術)を金融業界の分野に取り込み実現するサービスの総称です。
代表的には、スマートフォンでの代金支払いや、指紋認証で振り込みなどができるほか、ビットコイン(ネット上の取引や通貨発行などが行われる仮想通貨)やブロックチェーン(資金の取引記録を改ざんできないよう底コストで処理、保管ができる技術)などがあります。
ここで、中小企業経営者や小規模事業者、自営業者などが押さえておきたいフィンテックのキーワードに、新たな資金調達の一つとなる「オンラインレンディング」があります。
小売業や飲食業など経営者は、ほぼ現金取引で売上金を手元に温存できるほか、仕入れなどは後払い可能となり資金繰りには有利と思いがちですが、設備機器の故障やメンテナンス、運営費、広告など計画以上に資金が必要になることがあります。
資金不足となった場合、これまで利用できるサービスとして・・・
1.金融機関からの融資(貸し出し金利は低いものの、多くの申請書類の作成、添付書類が必要で審査・融資完了までの期間が長いのが難点)
2.ビジネス・カードローン(短期間審査で資金調達が可能ですが金利は高めに設定)
3.ファクタリング’(売掛金の買取で現金化できるメリットがありますが、借入金の2〜3割の手数料が差し引かれます)
小売業や飲食業などの資金調達は以上の3手法がメインでしたが、借り入れに負担がかかる認識を持つ経営者も少なくありません。そこで今、注目を集めているのが「オンラインレンディング」です。
オンラインレンディングは、少額からの調達も可能で、売上データや解析アプリケーションをサーバ側で処理するクラウド会計やPOSレジからオンラインデータを取り込み、審査を行い売上状況などを解析し融資するという新たな資金調達法です。融資までの時間がかからないほか、必要書類の作成や収集の手間を省くことが可能です。
米国では、すでに「OnDeck」や「Kabbage」などのオンラインレンディングが有名で、JPモルガン・チェース銀行やサンタンデール銀行と提携し活用されています。
日本でも、クラウド会計やPOSレジなどが普及しており、連携可能な体制が整っています。国内でオンラインレンディング・サービスを始めたのはクレジットエンジン社の「LENDY」。小売業や飲食業経営者は、店舗の情報を入力することにより借り入れ可能額が提示される仕組みです。住信SBIネット銀行や楽天銀行と連携しています。
ほかにもネット通販大手の「アマゾンレンディング」、オンライン決済大手の「GMOイプシロンレンディング」は最大5,000万円まで融資が可能です。
小規模事業者などにとってオンラインレンディングは、手軽さから最適のパートナー。今後の発展が注視されます。
[2017.5.1更新]